新型コロナウイルス禍ですっかり定着したのが,zoomを使ったリモート打ち合わせである。ビデオ会議といえば,かつてはNTTなど大手ベンダーが提供する高額なシステムしかなく,「本社会議室と全国の支店を結んだビデオ会議システム」など,大掛かりだった。国家首脳クラスの世界会議や,全国知事会議など,新型コロナで移動が制限されていた時期には,こうした正式なシステムが使われた。万全のバックアップ体制が取られたことと思われる。
一方,これまで電話やメールでやり取りしていた1対1の打ち合わせでも,zoomを使うケースが増えた。筆者のブログでもzoom利用については,新型コロナ禍が始まってすぐの2020年3月にコメントしている(ZoomよりもAcrobat Reader。ハンコの書類回覧をメール添付で実現 - jeyseni's diary 2020/3/30)。勤め先の他の社員の利用はごく最近になってからだが,社長以下多くの社員が普通に使うようになった。遠方だけでなく,都内の相手との打ち合わせでも,資料を見せ合ったりしながらの打ち合わせが便利なようである。
セキュリティ面などの考慮は必要だが,相手がアカウント登録なしでも使えるzoomは,最も手軽に使えると思う。すべての参加者がPCやスマホをそれぞれ使う場合は,カメラもマイクも問題なく使えるが,リアルに集まった会議にzoomでリモート参加するという「ハイブリッド会議」を運営するシチュエーションでは,機材のセッティングに工夫が必要だった。何度か失敗してきたので,まとめてみることにする。
まずカメラである。zoomを含む昨今の手軽なビデオ会議では,基本的にWebカメラを使う。代表的なのは,ノートPC内蔵のWebカメラであり,これだと1人使いの場合は画面も安定する。しかし,リアル会議に参加した複数の参加者を写すには,外付けのWebカメラを使う必要がある。パソコンから離して置く必要があり,数mの延長USBケーブルが必要になる。さらに,リアル会場の机のセッティング,参加者の座り方も工夫しないと,左右の参加者が切れてしまったり,また顔の大きさが極端に差ができたりする。
次がマイクである。一般的に外付けのWebカメラにはマイクが内蔵されており,接続するだけで画像と音声を同時に使うことができる。しかし,リアル会場で上記のように参加者から少し離れた場所にWebカメラを置くと,マイクがリアル参加者の声を拾い切れなくなる。一般に,マイクから3mぐらいの音までしかうまく拾えないからである。
これを解決する方法として,2つ考えられる。
1つは,Webカメラを2台接続し,1台はリアル会場全体を写し,もう1台は参加者の近くに置いておく。会議進行中は全体Webカメラで映像を,参加者Webカメラのマイクを使って,参加者の声を拾う。参加者にフォーカスしたい場合は,映像を参加者Webカメラに切り替える。ちょっと面倒かもしれない。
もう1つは,Webカメラとは別にマイクを用意して,リアル会場での発言者間でマイクだけ回す方法である。会場を回せるだけの延長コードが必要になり,これもなかなかスマートとも言えないかもしれない。
頻繁にこうしたハイブリッド会議をするようなら,ワイヤレスマイクが使えるようにするのが理想的かもしれないのだが,zoomなどの低コストビデオ会議システムの中で有線のWebカメラ以外の機器を使えるようにするのは意外に設定が面倒なようなのである。たとえば,防犯カメラのような無線接続のカメラシステムをzoomで使うことができなかったりする。マイクでいえば,Bluetoothマイクは使えそうなのだが,適切な機器があるかどうかはまだ確認していない。
リアル会場用にスマホを1台追加して,これを使って話者が参加する,という方法が実はいちばん安くて現実的なのかもしれない。