2019年10月の台風19号の被害、およびその1週間後の豪雨による水害は、社会インフラの老朽化と整備体制の不足であり、結果としては「人災」と言える。
「マスコミはまた簡単に後付けでコメントする」との批判はあるだろう。インフラの整備にかけるお金と人材がないのは事実である。交通機関でも水道・電気なども、維持拡張するだけで精一杯であり、補強や点検にかける時間もお金も人材もいない。災害が発生してからでは遅いのだが、危険性を伝えると、土地の価値が下がったりするので、言えないということもあるだろう。
そこで一つの提案と指摘がある。
この社会インフラ整備にビッグデータがまだうまく結びついていない、ということである。
今回の水害も、NHK の情報を見ているだけでは「命を守る行動」は取れなかった。マスコミは危険だ危険だと連呼するだけのノイズだった。自分たちの命を守るには、自分て情報を集め、分析し、判断することが求められた。
少し以前なら、音や匂いなど、普段と違う現象を感じて逃げる判断ができた。今は、人々の感覚が衰えるとともに、家の密閉化により、これらの情報が遮断されている。テレビやスマホなどからの情報をどう活用できるかが最重要である。
ならば、ここにビッグデータの登場ではないだろうか。AIも必要である。
今のビッグデータ活用は、金融やマーケティングなど、結局お金に関わる分野でしか発展しない。そうやってお金儲けをしているだけである。社会のためという発想がない。
最近、信号機のタイミングをクルマに送って加減速を自動制御しようという実験がある。スムーズな流れが実現するとともに、無理な加速による衝突事故を減らせるなどが期待できる。こんな社会インフラにコンピュータ技術を使うことなど、当たり前と思っていた。電車の運行も簡単に制御できることである。なのに、できていない。運転士の技量にかけるなど、バカげたことである。
今回の水害のように、時々刻々情報が変化するなかで、気象予測コンピュータと災害予測コンピュータが有機的につながっていなかった。さらに、その判断するヒューマンファクタに判断力がなかった。ここをつないで判断をコンピュータに任すぐらいの認識がそろそろ必要かもしれない。
同時に個人が情報を収集し、判断できるようなリテラシーも必要である。スマホといえばゲームという人々には無理な選択かもしれないが。