ワクチン接種は「選挙投票方式」で行政が管理して実施してほしい - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/1/15。何度も引用している筆者のブログである。65歳以上の高齢者に対するワクチン接種が日本で最初に始まった4/15での混乱について,ワクチン接種対象者16万人に対して1900人分のワクチン--高高齢者が取り残される懸念 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/17 とコメントした。そして,それからもう1ヶ月も経過している。何を今ごろ,経済学者が出てきて「先着制」がいいかだの「抽選制」がいいかだの,言っているのだろうか。海外の事例にも学ばないし,自らシナリオを作って対策を提案することすらしない。日本はやはり「衰退国」ではないのか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/23 と,その直後にコメントさせていただいた。
そして,抽選の前提となる自分の都合のいい日を登録する仕組みについても,同じ日に作成して提案した ワクチン接種データベースの仕様を提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/23。「抽選する仕組みを作るのは大変でしょう」などというとぼけたテレビコメントって,いったいいつの時代の話なのだろうか。宝くじの抽選のような回転する的に矢を当てて当選者を選ぶような前時代的な仕組みをイメージしているのだろうか。
コンピュータデータベースを作ってしまえば,抽選結果で何日のどこという指定など,1分もあればできる。乱数を発生して順番を決めればいいだけの話である。たとえば18歳以上が20万人いるような町を仮定しても,80~85歳の人は1万5000人ぐらい。これを1週間7日間で打ち終わろうとすると1日2000人。接種を受けられる医院は町に平均的に50医院が散らばっているとして,1医院あたり40人である。日程調整したり,その前の週に抽選して都合が付かなかった人たちにも入ってもらったとして80人ぐらい。1人の接種者で1時間4人(15分に1人)接種できたとして,1日32人。2列で受け付ければほぼ処理できる。
そもそもまだ,こんな数のワクチンが配給されていないのだから,スタートとしては十分余裕がある。そもそも最初の八王子のように,1900人分しかないのに65歳以上の18万人分の接種券を一度に郵送してしまうなど,まことに愚の骨頂である。本当に危機管理意識の薄弱というか,想像性の欠如というか,だれか疑問符を投げかけなかったのかと思う。その八王子市から1ヶ月経った今も,いまだに先着制がまかり通り,回線パンク,システムダウンなどが続いているのは,実に嘆かわしい。
単に抽選するだけだと,希望する医院での接種ができない可能性もあるが,あらかじめ希望医院も登録しておけば,その条件を加味しての抽選もできる。その医院が人気で人が集まるような医院の場合,希望日がかなりずれたとしても,納得がいくだろうし,接種場所にこだわらなければ早い時期に接種できる可能性が高くなる。
こういうのを「公平なシステム」,「住民の側に寄り添ったシステム」と呼ぶのではないのか。
あとは,東京で始まった大規模接種会場と市町村の予約システムの重複排除ができない件だが,「何を寝ぼけたことを言っているのか」と言いたい。全国のコンビニエンスストアにあるマルチコピー機から,自分の町の住民票はおろか,本籍のある自治体の戸籍謄本までマイナンバーカード1枚でアクセスできる仕組みをすでに構築しているのに,大規模接種会場の予約システムで接種券番号とマイナンバーを組み合わせて地方自治体とリンクすれば,すでに自治体で予約が確定しているかどうかなど,一瞬のうちに照合できるのではないのか。接種券の発行システムとマイナンバーをリンクさせてさえいれば,実に簡単なことではないか。
簡単に言えば,日本人のコンピューターリテラシーが低いことと,コンピューターリテラシーの高い人が,政治,行政,経済,マスメディアにほとんどいないことである。ほかの業界が進んでいるとも思えないが,少なくともこの日本のオピニオンを支える業界人に理系の人材が極めて少ないのが原因ではないのか。
文系人を悪く言うつもりはないが,スマホもパソコンもそのままの機能は使えるが,トラブルには対応できないし,新しい機能を入れるときも対応できないし,そもそも新しいことを考えることがない。マニュアル通り操作すれば解決するような場合も,マニュアルは読まないし,自分で触ろうともしない。使うのは,ゲームとLINE,マンガアプリだけである。
もう一方の医学系専門家会議においても,コンピューターリテラシーが低い。当初,西浦博先生(当初北海道大学,現在京都大学)が緊急事態宣言の人流抑制のシナリオを数字とグラフでわかりやすく説明し,「8割おじさん」などと揶揄されたが,その後のシミュレーションによるシナリオづくりがほとんど聞かれない。スーパーコンピュータ「富岳」によるシミュレーションも,前提が不足していたり,結果が当たり前すぎて,説得力がほとんどない。いずれも「単なる数字のお遊び」と思われてしまったからではないか。
濃厚接触者アプリ「Cocoa」もまったく意味がなくなり,人流のカウントに実に役立っていた「3密アプリ」も結局iPhone版が出てこなかった。ワクチン接種の予約も,物理的に本数の制限のある電話回線や自治体のパソコンにつながる細い回線で予約が集中することで,接続不良,回線パンク,システムダウンが起きている。筆者が提案したようにgoogle フォームであれば,世界中のコンピュータが分散して処理するので,まったく問題は起きないだろう。こういう発想ができないのは,単に「知らない」からである。
筆者は,理工系学部を卒業後,大手新聞社の雑誌部門に記者として就職した。理工系学部なので,就職案内の99%はメーカーだった。マスコミ関係からは3件の案内があったが,その中で「記者」を募集していたのは1社だった。最終的にここに応募して就職し,このメディアの世界の中で生きることになったが,専門雑誌の記者として企業人や大学研究者の専門的なテーマを記事としてまとめるという仕事は,学問的な基礎を持っているだけに実に楽しいものであった。しかし,大学時代はパソコンがない時代である。このあたりの話は,ファイルメーカー「命」 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/1/23 にブログで書いた。データ処理のことはすでに書いたが,たとえばコンピュータ上で雑誌のレイアウトを組むDTP(デスクトップパブリッシング)についても,基本コンセプトは40年前に構想していた。
今でも,パソコンは「自分に代わってデータ処理をしてくれる相棒」である。いろいろな仕事をしてもらっている。そのために処理手順(スクリプト)を組んだりしている。正直,出来合いのシステムは発展性がない。応用が効かない。それなら自分で構築した方が楽である。基本コンセプトを高速で安全に作るのは,それはコンピュータプログラマーの仕事である。
おそらく,現在の緊急事態宣言,蔓延防止等重点措置における店舗の休業要請や時短要請なども,どういう対策をすればどういう効果があるのか,などというのはそれこそ「富岳」で簡単にシミュレーションできたのではないか。そうすれば,1人の滞在時間が長く,相互会話の多いカラオケ店やアルコール提供飲食店への要請と,デパートへの要請,さらに終了時に出入り口から交通機関までの間が超密状態になるイベントなどで,どのように感染が拡大しやすいかの基準を作れるはずである。何度もいうが,一般の飲食店では,換気もパーティションも黙食ももう当たり前なので,時短要請をなくしていいという判断ができると思うのである。
すべてに渡って,日本の経済も安全保障も政治も,動かすための「エビデンス」がまったくない。したがってシナリオを描けないから,予測もできず,結果に右往左往しているだけである。コロナウイルス対策もワクチン接種もオリンピック開催も,ただの「多数決」と「責任の押し付け合い」だけである。