jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「VRS」のバーコード入力の不備,「V―SYS」との未連携という愚行【修正】

ワクチン2回接種を管理できるのか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/9 のブログで,厚労省の「ワクチン接種円滑化システム(V―SYS)」について紹介した。「ワクチン接種の進行状況を厚労省が日々把握できる」というロジスティックス側の仕組みだと紹介したが,まったくうまく機能していないようである。

 実はもう一つシステムがあることを知らなかった。「ワクチン接種記録システム(VRS)」ワクチン接種記録システム(VRS)について | 政府CIOポータル。こちらは,内閣官房が使っている。「個人の接種状況を記録するシステム」で「全国の市区町村で共通のシステム」で「接種券が回収され、VRSで読み取られ」るという。読み取られた情報には,【接種者情報】と【接種記録情報】がある。【接種者情報】には、市区町村が住民基本台帳、予防接種台帳から登録するマイナンバーを含む接種者の情報,【接種記録情報】には、接種日、接種回数、ワクチンメーカー等の情報があるという。

 あれ? 医療機関や市町村がバーコードで読み取らせているのは「V―SYS」の方ではないのか,と思ってしまう【修正】接種後にバーコードを読み取らせるのはVRSでした。【修正終】V―SYSは,どれだけの数を接種予定かを申告し,どこまで接種が進んだかを報告することで,残りの必要な供給を要請するための仕組みで,これの登録が遅れると,「接種が進んでいない,在庫が残っている」と判断されて,供給優先度を下げられてしまう,という不具合が生じている。予定どおり供給してもらうには,V―SYSの入力を優先しなければならなくなるだろう。

 そうすると「VRS」への入力というのは,なにに使われているのか。そもそも,両方のシステムに入力するのに同じ接種券のバーコードを使うというのに,2回入力しなければならない,ということになる。

 VRSは,個人の接種状況がマイナンバーで管理されるのであれば,2回目接種の遅れ状況や,間違った接種の防止などを個人レベルで管理できるはずだが,マイナンバーとの紐付けについてもまったく報告されていない。筆者はこの話題を5月にしていた マイナンバーとワクチン接種のデータを早急にリンクさせよ - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/5/27。VRSというシステムがそれに相当していることを今日認識したが,まさかの愚行が行われていたようだ。

 VRSのバーコードが読み取りにくいという話題は紹介した 接種券の VRS入力用バーコードは「NW-7」。専用スキャナーの性能が悪いと思われる【7/1追記】 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/7/1。同じようにVRSも読み取れないのだろうか。写真を見ると,いずれもタブレットで読み取るような仕組みになっているが,そもそもその対応がおかしい。

 ワクチン接種券の発送が,高齢者から順に行われてきたが,おそらくこの発送段階でVRSとリンクしていなかったと思われる。マイナンバーでリンクしていれば,接種券を発送した段階で自治体での必要予定量は把握できる。接種後の情報で消し込んでいけば,在庫量も把握できる。この情報をV―SYSとリンクさせてロジスティクスを管理すれば,「接種が遅れている」のか「配送が遅れている」のかが単なる足し算引き算で簡単に把握できる。

 たしかに,物理的に配送する段階で,特殊な冷凍庫が必要だったりするので,予定通りに配送できなかっただろうことは予想される。しかし,「自治体に滞っている」「医療機関に在庫があるはず」など,まったく把握していないことになる。これが現状である。

 至急,単純なバーコードリーダーを使って両システムへの入力を1本化できるインタフェースを開発して,医療機関自治体,集団接種会場に使ってもらうことが必要である。簡単なことだと思うのだが。