jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

街中の人流は,第3グループの無邪気な若者と我がままな年配者と,第2グループの真面目な会社員

勤め人や学生は,出勤・出社時刻が決まっていることで,起床して朝食を取り,家を出る,という一連の動作が習慣化する。会社に行くことや学校に行くことが当たり前になり,仕事や勉強が面白ければ,継続できる。

 昔はこれが当たり前だった。働き蜂と揶揄され,エコノミック・アニマルと評された戦後の経済成長期。それこそ「24時間,働けますか」といったモーレツ社員がいた時代は,朝一番から100%以上の馬力で仕事や勉強が始まり,規定時刻を過ぎてもまだ止まらない。残業残業で終電を逃すこともしばしば,といった時代があった。学校も,目的とする大学に入ることだけを目指した受験戦争の中にあった。大学では,開放されて自由な世界に進む人もいれば,官僚や大企業に進むためにさらに精進する人もいた。

 その後,「ゆとり教育」が取り入れられた。企業は終身雇用制をやめた。残業しても手当が出ない「サービス残業」が明らかになり,これらを見過ごす企業が「ブラック企業」と言われた。一方で,大企業であっても安泰ではなく,倒産や合併吸収の対象になったりした。かつてエリート集団と言われた官僚が,残業を嫌い,制度を利用した犯罪に手を染める例まで出てきてしまった。悪い連鎖が続いてしまっている。

 COVID-19禍によって,出勤しない,登校しない,という新しい生活行動が求められた。「群れる」ことで「協調性」を生み,生き延びてきた人類。会社でも学校でも,リアルに人が集まって侃々諤々と議論が行われ,その切磋琢磨の中から新しいモノが生み出されてきた。この環境が失われることによって,3つの新しい生き方が生まれた。

 第1グループは,テレワーク,テレビ会議で,自宅で仕事や学習をする生き方である。人とのつながりは,zoomに代表されるテレビ会議システムで,画面を通じて情報交換する。かつての電話とテレビが合体したようなテレビ会議システム。SFの中では「テレビ電話」だったが,いつのまにか1対1だけでなく多人数が同じ場に参加できるシステムが実現できていた。このバーチャルな新しい環境を快適と思える人が第1の生き方である。筆者は基本的にはこのグループにいると思う。すなおにテレワークに移行し,リアル出勤と同じ成果を出していると自負している。

 第2グループは,このデジタルの環境が苦痛な人の生き方である。当初は面白いと思えていたかもしれないが,画面越しに相手とつながることが苦痛に感じる人も多い。第1グループにいる筆者も,自宅でまで時間を制限されるzoom会議は苦手である。会社のリアル会議であれば,開始の10分前から会議室に入ってゆったり準備することもできるし,直前まで別の仕事をして会議室に駆け込む,などということができるが,zoom会議だと事前に接続できることを確認する必要があり,5分前には画面の前に座って準備しておく必要がある。リアル会議だと発言者の顔だけを追って見ていけばいいが,zoom会議だと参加者全員の顔が自分を見ていることになり,落ち着かない。一日中,zoom授業をしている学生や生徒は,子供たちには酷だなと思う。COVID-19に感染することを恐れながらも,出勤・通学するリアルな行動の中で,マスク着用や手洗い,ソーシャルディスタンシングなどの制約もきちんと守っている真面目なグループである。

 第3グループは,リアルもバーチャルも関係なく,自由に行動する人たちである。自分はCOVID-19には感染しない,感染しても重症化しない,と楽観的に考えて,感染リスクと自分らしい生き方を天秤にかけて後者を取る。このグループは若い人が多い。あるいは,「これまでもう1年も何も対策してないけど,感染なんか全然しないし,周りもだれも感染してないし」と,まったく意にも介さない人も多い。

 オリンピック競技で世の中が盛り上がり,これを楽しむために,人と会い,飲食,特に飲酒をし,声を上げて応援する。これまでの感染症対策としていた3密,マスク着用,黙食などとまったく逆の行動である。

 第1グループの筆者は,嫌々ながらリアル会議のために週1で出社している。出勤途中でも出社時でも感じるのが,周囲の多くが第3グループなのではないか,という不安である。特に帰宅時に,アゴマスクで談笑している人たちを多く見かける。デルタ株変異ウイルスの蔓延によって市中感染のリスクがこれまで以上に上がっていると感じる自分とのギャップを感じる瞬間である。

 テレワーク中に街中を歩くと,ジョギングをしている働き盛りの人とすれ違う。遠目ではマスクなしだなと思っていても,すれ違う瞬間にマスクを着用してくれる人もある。しかし,半分ぐらいはまったくお構いなしで自分の横を通り過ぎていく。また,高齢者で散歩している人も多いが,こちらはマスクなしで平気で歩いている。まさに傍若無人という感じである。もともと,高齢者は道を譲らない傾向にあり,すれ違うときの間隔が近すぎると思うことが多い。さらに「オレはワクチン接種も済んでいるから,何をしてもいいだろう」という表情がありありと見える。

 第1グループの筆者もワクチン接種は完了している。これにより感染リスクや重症化リスクは下がっているとはいえ,「絶対に感染しないということはない」「感染して絶対に重症化しないことはない」と常に思っている。逆に感染しても無症状である可能性があり,これによって他の人に感染を拡大するリスクはある,と思っているので,ワクチン接種以前よりもずっと,感染対策には気を使っている。暑い毎日だが,熱中症リスクに注意しながら外出の際の二重マスクの着用を確実に進めている。

 感染拡大が止まらないのは,多くは第3グループの無邪気な若者が原因だと思われる。これまでガマンを続けている第2グループの人が,オリンピック開催と夏休み入りを機にどこかでタガが緩んで第3グループになってしまっている例も増えているのではないかと危惧している。我がままな年配者グループは,人流の一部を構成しているが,とりあえず目をつぶってもいいかもしれない。ただ,傍若無人という意味では,ヤンチャな若者と同じように厄介な存在である。

 会社の内勤や学校など,交流する人がある程度限定されている人は,市中感染に気をつければ何とか感染罹患リスクを避けられると思う。しかし,会社の営業職,飲食店やスーパーマーケット,公共交通機関医療機関など,不特定多数が出入りする環境で働く人は,市中感染リスクにさらされている。特に第3グループのヤンチャな不特定の人たちと接する可能性の高い人は,この現状をきちんと理解して,自己防衛を続ける必要があるだろう。現に,羽田空港のスタッフの感染陽性者が増えている,という事実が,これを如実に示していると考えている。