アメリカや中国で、水素細菌で水素エネルギーを使うというプロジェクトが国家規模で進められているという。二酸化炭素も餌として吸収し、水素ガスを産出するとともに、自身は生物プラスチックの素材にもなるらしい。日本もようやく研究に資金提供するかどうかを検討するという段階だという。
水素細菌を使った微生物燃料電池の研究は、日本でもかなり前から進んでいたらしい。まさか、石油エネルギー文化が地球温暖化という弊害まで至るとは誰も予想せず、言わば無視されてきた技術で、急に脚光を浴びた格好のようだ。
正直、微生物系のシステムは、相手が生き物だけにコントロールが難しい。発酵食品ではまだまだ勘に頼る面も多い。しかし、ビールやワイン、納豆、味噌、そしてヨーグルトなどはほぼ工場レベルで生産が自動化できている。大量に培養することで、水素を効率良く発生できるかもしれない、という期待を持った。
問題は、水素エネルギーに対する危険意識により、インフラが整っていないことである。大量に水素を産出できても、それを格納し、運搬し、利用するプラットフォームがない。「日本は〇〇で行く」という方針が出せないからである。恐らく、石油団体と政府自民党の強大な癒着がそこにあるのだと思われる。
ここは、名誉挽回のために、東京電力が生き残りを賭けて独自のエネルギー開発に方針転換する絶好のチャンスではないだろうか。
当面は、再生可能エネルギーで作った電力で水の電気分解で水素を得て、これを赤道近くから運送して使う必要はあるが、そこで確立した水素エネルギープラットフォームに、今度は水素細菌工場をつないで、国内で水素の安定生産をすることで、エネルギーの海外依存率を下げられる。
水素エネルギープラットフォームは、ドイツが急速に確立しつつあるらしい。これも驚きである。うまく共同開発して、せめて貯蔵技術ぐらいは世界市場の独占ができるような枠組み作りが必要だろう。