jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

20万円のスマホをどう使う--中古市場の闇を反映

半数以上の読者がiPhone 14/14 ProよりPixel 7/7 Proを選んだ理由 (msn.com) 2022/11/22 という記事をたまたま見つけた。iPhoneが機能の割に価格が上がったこと,逆にPixelが性能が良く,買い取り価格による割引が大きかった,といった理由が,最初に目についた。

 この記事が目につく最大の理由は,筆者がiPhoneユーザーでないことと,スマホを基本は電話とメール,特定のアプリのみしか使っていない,言わばプアユーザーだからというバイアスがかかっていることが大きいだろう。

 あらゆる家電の値段が,かつて(20世紀後半)に比べて極端に値上がりしていると感じる。冷蔵庫が20万円,洗濯機が10万円,炊飯器が5万円など,筆者にとっては目の飛び出るような値段である。大きさも違いがあるが,1人暮らしを始めたころは,冷蔵庫3万円,洗濯機1万円,炊飯器5000円,といった出費だったと思う。

 価格が上がった理由の1つは,壊れにくくなったことが挙げられるのだろう。かつて日本メーカーが丁寧に作っていた製品に対して,海外での生産品も増え,筆者としては製品に対する信頼度は下がっている。いつ壊れても仕方がない,という思いがあるので,できるだけ安く買いたい,と思うのだが,冷蔵庫も洗濯機も1日でもなくなると困る家電もある。仕方なく,近い家電量販店で在庫がある製品を選んで翌日配送を依頼することになる。筆者は価格優先で考えてしまうが,家族は性能も重視するので,相当な価格の製品を選ぶことになる。それでも,壊れるまでほぼ使い続けられるので,利用年数で割って納得しようとしている。

 20万円と言えば,かつてのパソコンである。その前身である日本語ワープロは,本体,外付けプリンター,フロッピーディスク・ドライブなどを合わせると30万円と筆者にとっては超高額だったが,他にない特徴があり,仕事で使い切ることも考えての投資ができた。これを基準に考えると,パソコンはより高機能で30万円という価格から利用をスタートした。その後,20万円,10数万円と価格はどんどん下がった。ここ10年は,収入も一気に減り,一方でOSの頻繁なアップデートなどがあって使用期間が2~3年と短くなったが,それに伴ってか,数万円で入手することができるようになった。

 ネット通販で海外ブランドのパソコンも注文できるようになった。また大手家電量販店で中古品のリフレッシュモデルが格安で販売されるようになった。筆者が購入した最低価格のモデルは,リフレッシュの国産モデルで2万円,そしてネット通販で買った海外モデルで2万5000円という破格値だった。それでもまさに3年ずつ使えて十分な働きをしてくれた。現在使用のモデルは国産のネット通販モデルで,15万円を投資した。投資したな,と思うのだが5年以上は使いたいという思いで,CPUもメモリーもフルスペックで搭載している。それでもかつての投資額の半分なので,安くなったなと思えるのである。

 さて話を携帯電話に戻すと,現在のスマートフォンの機能は,ほぼパソコンに匹敵し,さらにモバイル通信,デジタルカメラなどの機能も加わり,機能としての付加価値は非常に高い。メモリーの容量も,どんどん増え,いまや1TBモデルもある。パソコンよりも大容量なのは,高画素カメラによる長時間ムービーを収録するというパソコンとは違う使い方がされるからである。

 筆者の携帯電話スタートは,今はなきPHSモデルだった。音声通話の声の品質が高いのが特徴だった。多くの人はメジャーキャリアの携帯電話を使っていたが,こもったような声しか伝わらなかったし,しかも通信料金が高いので,PHSは筆者にとって貴重なアイテムだった。外出先でメールが使えるのも今では当たり前だが,当時としては画期的だった。

 スマホ時代になっても,通話とメールが筆者にとっての基本的な使い道である。ガラケー時代に最も便利だったアプリは,歩行者ナビゲーションだった。スマホではカーナビ機能も充実し,古くなったカーナビの補助用に使うこともある。それ以上の機能は,基本的に筆者にとっては「おまけ」なのである。

 確かに,ガラケー時代のデジタルカメラ機能はオモチャレベルで,備忘録代わりに使える程度だったが,スマホのデジカメ機能は驚くほど進化を遂げており,手軽さではコンパクトデジカメを上回り,画質も文句ない,あるいは場合によってはコンデジの上を行くほどになっている。

 画面が大きくなり,かつてのハンディなゲーム機に匹敵するようになった。家庭用のテレビゲームと違って,持ち歩きができ,しかも通信対決もできるようになれば,ゲーム機も飲み込んでしまったと言えるかもしれない。

 それでも,価格が5~8万円ぐらいまでは何となく納得できたのだが,すでに10万円を超え,最新モデルでは20万円という値段を知って,はっきり言えば尻込みしてしまっている。ただそこに,キャリア乗り換え時の割引,旧モデルの買い取りなどのマジックが存在する。

 かつて,0円ケータイ,0円スマホなどが販売され,公正取引上の問題になっていた。しかし現在でも大幅値引きでの契約獲得の動きは収まらない。そこには,買い取ったスマホが流通する中古製品市場があるのも1つの理由だろう。

 筆者は正直,中古市場にモノが流れるのは抵抗がある。中古製品は筆者にとっては「機能お試し用」の意味しかない。正直,人の使ったものが100%機能するかどうか信用していない。バッテリーが劣化していたり,キーがうまく働かなかったり,コネクターが破損していたりしないとも限らない。

 大手家電量販店で購入したリフレッシュモデルは,信じられないほど新品同様にリフレッシュされていた。しかし,オークションでさらに低価格で入手したモデルは酷い状態で,数ヶ月で壊れてしまった。

 そもそも,中古市場に出す理由は,さんざん使い込んで不具合が起きていることもある。筆者も,いろいろと買い替えて来ているが,不具合というより性能が追いつかなくなっていることが多い。そうしたモデルが人の手に渡ったとき,その人が満足できるとは思えないので,あえて中古市場に出るルートでは処分していない。おそらく中古品には二度と手を出さないつもりである。

 スマホの場合,使い込んでいくにつれていわゆる「メモリーのゴミ」が増えることで動作が鈍くなって買い替えの対象にする場合が多いように思う。パソコンも同様だが,完全に工場出荷状態まで初期化すると,かつての性能が出せる場合もある。しかし,一般人に完全な初期化は実は難しい。メモリーの中に自分のプロフィールが残ったりしないとも限らない。中古品業者がその個人情報を完全に消してくれるかどうかも信頼できないし,逆に初期化前の情報を悪用されないとも限らない。

 パソコンも,かつてのデスクトップモデルならハードディスクを外してしまえばただの箱だし,外したハードディスクは物理的に破壊することもできる。ノートパソコンは,ハードディスクを取り出すのも面倒である。スマホではまったく蓋を開けることすらできない。家電とは違うな,という思いで見ているのだが,古い時代を知らない現在の若い人たちは,そのリスクをあまり気にしていないのではないか。

 筆者にとって,スマホは情報機器として完成されたものとは思っておらず,次の新しい機器が登場することを期待している。ますますややこしくなるのかもしれないが。