インターネットとSNSの組み合わせにより、個人が情報発信を簡単にできる環境が生まれた。同時に、広告業界が選ぶのがメディアではなく視聴率だけだという実態が露見した。要するに、情報の質や正確さよりも視聴者数が多いか少ないかだけが、広告掲載の基準ということである。
このブログのように、顔出しなし、プロフィールなし、匿名での情報発信は、本人が言うのも何だが、情報としては正しいつもりである。しかし、個人のコメントに過ぎず、情報とは言い難い。しかし、現代社会はすべての情報は正しいとして取らえられる。フェイク情報の発信まで当たり前になっているのは、メディア人としては非常に嘆かわしい。
特にYoutubeやInstagramは影響力が大きい。文字や写真はフェイクの可能性を疑ってかかることは容易だが、動画はその個人のリアルという現実を細かく伝えており、信憑性を持たせる効果が高い。同様に、アニメもより現実的になり、情報の信憑性が高い。リアルなものに心を動かされることは、詐欺の手口でもある。
動画で奇想天外なプレゼンテーションをするのは勝手だが、その影響力を少し冷静に判断してほしい。動画プレゼンテーションは、言い方を変えれば「インターネット大道芸」である。通常の大道芸は、観客がせいぜい30人だが、インターネット大道芸では3000人、3万人にその存在が知られる。まったく素性の知らない人とネットで繋がる。投げ銭も100倍、1000倍が期待できる一方で、誇示情報が悪用されたり、個人的に接近されたりする危険性も100倍、1000倍になる。何よりも、その動画を勝手に使われたり、捏造される危険もある。さらに、情報を消そうと思っても、すでに拡散した情報を取り消す術がない。何年経っても自分のプレゼンテーションとして残り、足を引っ張る可能性が高い。
この視聴者数という基準に広告業界が食いつき、動画発信者に広告収入を与えるというビジネスモデルが成り立ってしまった。この広告内容も、怪しげな通販商品だったり、講座勧誘だったりする。
要は、プラットホームであるYoutubeも広告代理店も、金さえ取れればなかみのはなんでもはいいという世界である。筆者から言わせれば、闇メディア、アングラメディアが表に出てきた印象である。
プラットホームというのも言い方を変えれば「胴元」である。バクチで金が動けば、それでいいという考えであり、倫理感がまったくない。カジノを誘致して胴元になろうとしている地方自治体も同じく倫理感がまったくないと思っている。
一時に比べて、Youtuberの収入が1/10になったとも聞く。早く目を覚ましてほしい。大道芸は経済効果がまったくないと言えるからである。