2002年から数えてちょうど20年,外出時にマスクをする習慣が経過した。しかし,2020年の新型コロナウイルス禍では,外出時はおろか,室内でもマスクをすることが求められている。おしゃべりをしたり,咳・くしゃみ時のマイクロ飛沫が,新型コロナウイルスの感染拡大の最大の原因になっているためである。もちろん,強制換気も必須だし,ワクチン接種も望ましい。
ここまで続けられたのは,不織布マスクを使ったからである。筆者が子供のころは,布マスク,特にガーゼ生地の給食マスクだった。アベノマスクと同等だった。しかし,この給食マスクは嫌いだった。というのも,すぐに臭くなるからである。
不織布マスクを使うようになって,このマスクにつく臭いに悩まされることはなくなった。使い捨てという面もあるが,口がマスクに直接触れないために,ツバがマスクにつきにくいからである。臭いの原因は,マスクについたツバの臭いである。
マスクにつく臭いはこのほかに,いわゆる口臭があり,また喫煙者はタバコの臭いもマスクに移る。さらに外を歩いていれば,車道を走るクルマの排気ガスの臭いもマスクについてしまう。
マスクに慣れていない人が(というか,マスクをきちんと着けられない人が),マスクの着け方がいい加減なのは,このマスクの中の臭いが原因(というか言い訳)なのではないかと思うのである。
たとえば,「鼻出しマスク」。口だけ覆っているので,マイクロ飛沫拡散防止には効果がある。鼻をマスクの外に出しているので,自分の口臭は気にならない。ただ,他人の唾液飛沫やマイクロ飛沫はまともに吸い込んでしまうので,感染罹患リスクは高い。これは自己責任だから仕方がない。
アゴマスクは最悪である。唾液飛沫もマイクロ飛沫も自由に拡散させて,他人に迷惑をかける。自分も吸い込むリスクを自ら背負っている。馬鹿げた行為としか見えないが,こういう輩を放置しているから,いつまで経ってもパンデミックが収束しない。
食事のときに,口にモノを運ぶときはマスクを外し,口に入れたらマスクをして咀嚼する,という食レポをよく見かける。これではマスクがあっと言う間に汚れてしまう。いましばらくは黙食が必要だと思う。そもそも,食レポなど,美味しいものが出てくるのに決まっているのを,わざわざ大げさにレポートするのは,いかにも下品な番組企画である。
正直,仕事中もマスクを着け続けて1日が終わると,マスクの中の臭いが気になる。何しろ口内細菌は1億個もいると言われており,それが唾液飛沫,マイクロ飛沫となってマスクの内側に付着するのだから,臭うのは当たり前とも言える。
逆に,その事実を知れば,「きちんとマスクを着けて相手と向かい合おう」という気になるのではないかと思うので,一度,自分のマスクの臭いをじっくり嗅いでみてはどうだろうか(自分の臭いなのだが,意外に普段は意識できないものである)。
さらに,やり過ぎは禁物だが,食後の歯磨きや消臭効果のある緑茶を飲む習慣も大事だと思う。場合によっては,病気のサインを受け取ることができるかもしれない。