jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

北京冬季オリンピックでのスケートのエキシビション出場者を分析--やや政治的配慮もあるような

2022/2/20 北京冬季オリンピックが閉会した。最終日に日本が盛り上がったのが,カーリング女子決勝戦(日本対イギリス)と,フィギュアのエキシビションだった。筆者は残念ながら一日中外出していたので,リアルで観たり情報を得たりはできなかった。家にいたら,やはり観てしまっていたかもしれない。

 結果としては,カーリングではイギリスに敗れて銀メダルになった。予選リーグで敗れたスイスに準決勝で勝った時点で優勝は確実と思っていた。都市伝説的に,筆者が中継を観るといい結果が出ない,とずっと思ってきたので,安心していたのだが,スポーツに波乱はつきものだなと改めて感じた。

 フィギュア男子では,羽生結弦選手がショートでのミスで8位,フリーで4回転アクセルでギリギリ着氷して順位を上げたが4位でメダルを逃した。一方,フィギュア女子では,ショートで1位になっていたカミラ・ワリエワ選手が,フリーでのミスで4位となってしまった。ドーピング疑惑を突きつけられて精神的に不安定だったことが大きかったかもしれない。

 冬のオリンピックというと,かつてはスキーとスケート,ソリしか基本的になかったが,スノーボードカーリングが加わってずいぶん印象が変わった。なによりも,ストリートで遊んでいるような若者が世界の頂点に立つことで,選手同士が和気あいあいとしていて,悲壮感がない。お互いの技を称賛し,「よしオレもいっちょう」みたいなノリがある。夏のオリンピックの新競技となったスケートボードやサーフボードも同様のノリである。秒を競い合う競技は自分との闘いだが,新しい競技は競技場全体が温かい感じがする。

 秒単位,ポイント単位で厳しく点数をつけるスケート競技で最後に行われるフィギュアのエキシビションは,他の競技にはない華やかなイベントである。今回の北京冬季オリンピックでは,男女フィギュアにおいて正直言えば大きな番狂わせがあった。これを踏まえて,出場者をどう選ぶのだろうかと気になっていた。

 ROCのワリエワ選手は,最後まで疑惑が付きまとった。メダルを取れる順位だったとしても,メダル授与は延期するというグレーな状況の中で,精神的につぶれてしまったと見えた。それでも総合4位という成績だったのは,ショートの点数がいかに高かったかを物語っている。しかし,メダルに手が届かず,疑惑も晴れないまま競技を終わり,エキシビションへの参加は断って帰国したのではないかと思われる。

 一方,羽生選手は挑戦した4回転アクスルがショートでは氷に引っかかって飛べず,フリーでは着氷時に転倒したことで,メダルに届かなかった。しかし,公式試合で初めて4回転アクスルを跳んだとして正式認定された。本人は成功しなかったことで結果を出せなかったと思ったようだが,認定されたことに驚いていた様子だった。

 筆者は,エキシビションというのは各競技でメダル獲得した選手が登場するだけかと思っていたので,当初,羽生選手は出場せずに帰国するのではないかと考えていた。その後,出場者リストの中に羽生選手がいることにまず驚いた。出場選考がメダリストだけでないということが理解できた。男女シングルとペア,アイスダンスの4競技なので,メダリストだけだと12人だが,全部で27人が出場した。

 メダリスト以外の選手は,やや複雑な思いもするのではないかと心配したのだが,各国を代表しての参加という意味合いもあるようだ。国別に数字を見ると以下のようになる。

  出場者数 メダル数
ROC 5 5
日本 5 3
アメリ 5 2
中国 4 1
カナダ 2  
イタリア 2  
フランス 1 1
ジョージア 1  
スペイン 1  
ベルギー 1  

 メダル数に比べてエキシビション出場者が多いのが,アメリカと日本,そして地元の中国ということになる。このように見ると,日本のシングル選手への配慮と,アメリカへのやや政治的配慮が感じられる。それにしても,イギリス,ドイツ,北欧諸国が1人も入らないことで,フィギュアでは振るわなかった様子も伺える。

 特に羽生選手は,中国でも人気が強いこともあり,滑走順も後半の最後から10人目。最後から12人目の坂本花織選手よりもあと,最後から7人がメダリストなので,破格の高位置だったと分析される。

 一般観客も入らない会場で,中国の招待客へのアピールと,世界への映像配信を考えた人選ということもあるのかもしれない。筆者のようにあまり深く考えないほうがいいのかもしれない。

 それにしても,最後まで疑惑に対する措置がグレーなままだったワリエワ選手が,フリーに気持ちよく臨めなかったことが残念である。将来にシコリが残らなければいいがと願わずにはいられない(もちろん,坂本選手がメダルを獲得できたのは,筆者にとってはとても嬉しいことである)。