jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

災害時にもっとドローンを活用せよ

九州から岐阜・長野にかけて,広範囲で大雨の被害が出ている。テレビには,既存の固定カメラからの映像や,駅前,放送局前など,ポイントポイントの映像しか出てこない。

 河川の氾濫が頻繁に起きるようになり,筆者の住んでいる地域のかなり小さい川にも,3~5ヵ所の監視カメラが最近取り付けられ,その映像を見ることができるようになった。画面には1時間ごとの写真が一覧でき,その1時間を選ぶと,1分ごとの写真をコマ送りで動画のように見ることができる。画素数は480×270で,PSPと同じだという。初期のライブカメラの時代から比べると,流れる葉っぱが見えるほど,解像度が高くなっている。

 報道陣も,危険地域に足を踏み入れることはできず,また二次災害につながりかねないヘリコプターによる取材も,天候が回復して,被害が明らかになってからの報道にすぎない。

 しかし,数kmに1ヵ所の固定カメラや,定点カメラでは,時間的な差分は見えても,リアルな場面に立ち会うことは偶然でしかありえない。

 筆者は,なぜこういう災害の際にドローンを導入しないのかと思い,「雨の中でも使えるドローン」がないかどうか,調べてみた。そうすると,市場にあるドローンのほとんどは雨の中では使い物にならないことがわかった。

 ドローンは,4個のプロペラを持つ以外は,本体はいわばリアルタイムパソコンだという。自分の位置をGPSで検知し,外乱を検知して姿勢を制御するのに,膨大な計算をし,CPUは発熱する。この熱を逃がすために,ボディには隙間が開いているという。防水性能を持ったドローンもあるが,価格が一気に跳ね上がる。

 しかし,二次災害の危険のあるヘリコプターによる取材より,ドローンによる取材の方が,機動力があり,人的な二次災害の危険も少ない。

 自治体も,災害が起きる前の前兆をつかむためのパトロール用に,ドローンをもっと積極的に活用すべきではないだろうか。

 一方,ドローン開発企業にも,その怠慢さを指摘したい。こういう本当に役に立つ機器を開発すべきではないだろうか。その際の課題であるバッテリーの持ち時間については,現時点ではエンジンとのハイブリッドを考えるしかないのではないか。荒れた天候の中で強力な制御が求められるため,駆動部はモーター,発電部はエンジンのハイブリッドで,1時間以上の飛行ができること。そして複数台の協調動作が必要である。悪天候の中,また災害の可能性のある現場では,一般の空間のような騒音の問題もクリアできるだろうし,それこそ飛行許諾などは事後承諾でもいいといった柔軟な運用態勢も必要である。

 7/10(金)の15時現在,いったん小康状態になった九州地区も,再び雨雲が近づいているという。行方不明者の捜索や,倒壊家屋の復旧などが進められている中で,再度の氾濫や土砂崩れなどの二次災害の危険性が高い。一歩一歩歩きながらの行方不明者の捜索の一方で,複数のドローンによってある程度の幅の映像を連続して取得することで,被災者の位置の見当がつけられる可能性もある。

 さらに,おそらく悪天候で飛行できるドローンは,安定性も飛行能力も搬送能力も,一般的なドローンに比べてはるかに優秀であることが期待される。すでに一部で実験が行われている医療物資の搬送のほかに,食料の搬送,救助の連絡,さらにはロープを渡すなどの救助活動などの業務にも活躍できるのではないだろうか。

 いっそのこと,これらの災害用ドローンは,移動可能な固定監視カメラとしての活躍も期待できる。これまで設置できなかったような山の上や,崖っぷちなどに,自ら飛んで行き,自らを固定できる場所を探し,自らを固定して,観測を継続する。その際は,自ら太陽電池パネルを開いて電源を確保する。災害が発生しそうになると,より最適な場所に移動して,撮影を継続する。固定の監視カメラのほとんどがズーム機能がないため,状況がわかりにくいが,カメラが移動することによって崩壊場所などの特定が早くでき,大事に至る前に補強するなどの活動につなぐこともできるのではないか。

 新型コロナウイルスの蔓延のために,避難所のソーシャルディスタンシングや衛生の話ばかりが浮き彫りにされているが,避難に至る前の段階で災害を効率よく食い止めるための方法も考えておいた方がいい。インフラ全体を補強するには,膨大な時間と予算が必要だが,崩壊しそうな個所を短時間に突き止めて,集中的に補強を実施することで,大災害になるのを防ぐこともできるのではないか。そのための機動力として,ドローンの活用をすべきであり,それに適したドローンの開発を図るべきであると考える。

 筆者は基本的にドローンには反対である。あんなものが自由に空を飛び回ってもらっては,危なくて歩けやしない。使う側も,免許を取れだの,申請書を出せだの,管理する役所の仕事が増えるだけである。ならば,災害対策のために役所である自治体が自らその運用について予算を立て,人員を教育し,災害時に役立てるようにすべきだろう。

 地震津波は,さすがに天災なので,その災害からの復旧のマニュアルが必要だが,大雨による河川の氾濫,山崩れは,半分は人災ではないだろうか。インフラの長年の放置,危険が迫ったときのマニュアル不足,水門閉鎖やダム放水のタイミングミスなどの要因が重なっている。地震津波と違って,これらはある程度予測可能だと思う。

 ビックデータの取得も,その分析も,基本的には全く進められていない。せめて,情報収集の高速化,多点化のために,ドローンの大量導入をすべきだと提案する次第である。