jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

普通の注射器で十分深く刺していないのではないのか

2021/3/9になって,ファイザー社の新型コロナウイルス対応ワクチンを1瓶から7回接種可能というインシュリン注射用注射器の話題が盛んである。針が細く,注射器の中の無駄な空間がないため,打ち残しが少ないためだという。問題があるとすると,インシュリン用注射器は針の長さが1.3cmと短いため,目いっぱい刺しても筋肉まで届かない可能性があることだそうだ。このため,先行して使用を始めた医療機関では,事前に超音波エコー診断で皮下脂肪の厚さを測り,使えるかどうか確認してから使用しているという。針が細いため,痛みも少ないらしい。打たれる側からするといいことばかりのようにも見える。

 これはこれで結構なのだが,逆にこれまで日本で先行接種が行われた普通の注射器でのワクチン注射の場面を思い起こしてみると,注射針の皮膚への入り方が半分ぐらいしかないように見える。長さは2.5cmのものが使われているが,半分までしか刺していないとすると,1.25cmである。インシュリン用注射器でいっぱいに刺したのと変わらない。

 すると,ひょっとしてこれまでの接種例で筋肉まで達していないケースがあるのではないかという疑いがある。

 海外での接種場面で,皮膚に垂直に刺すのをみて,筆者もビックリした。ワクチンでの注射針の刺し方--世界の常識が日本では違うらしい - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/1/13。その後,新型コロナウイルス対応ワクチンの接種では,皮膚に垂直に刺すことがテレビでも紹介され,認知されたようである。

 しかし,海外での接種場面をもう一度見直すと,おそらく同じ長さ2.5cmの注射針で根元までいっぱいに刺して注射している。これなら十分,筋肉に届いていると思える。

 日本の場合はどうだろう。針の根元まで突き刺している例を見たことがない。しかも,刺してから一度押し子(プランジャ)を引いて,血管に入っていないことを確認してから注入をしている。注射の作法も日本と世界は違う? - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/3/1。この動作の途中で,針がぐらついているようにも見える。

 2.5cmの針の根元まで突き刺せば,問題なく筋肉に届いているので,プランジャを引く動作も不要だし,注射針が深く入っている分,安定しているので,注入動作も不安がない。針が刺さっている時間も,逆に短縮できるのではないか。実際に,薬液の注入後も,脱脂綿を近づける間,注射針は皮膚に刺さったままになっている。血管に入っていないのだから,さっさと針を抜いてから押さえればいいのではないかと思ったりする。

 これは,日本において過去に注射による筋肉マヒが疑われる事例があるために,針を垂直に刺すことにも,深く刺すことにも,ためらいがあるからではないかと思われる。

 昔は結核の診断法としてツベルクリン反応を見るのに,皮下注射が行われていた。現在はこの検査は行われず,乳幼児のときにスタンプ方式でBCG接種が行われるだけである。筆者もツベルクリン注射を小学生のころに受けたのを覚えている。注射針がちょっとだけ皮膚に刺さり,薬液を入れると皮膚がプクッと少し膨れるのが見えた。どうも,日本の注射の作法は,この皮下注射が標準になっていて,針をあまり深く刺すことをしなくなっているような気がする。

 さて,このブログで何を言いたいかというと,新型コロナウイルス対応ワクチンの接種によるアナフィラキシーの発生数が,日本では各国に比べて多いことと関係があるのではないか,という可能性を示したかったからである。これはもちろん何の根拠もない。河野ワクチン担当大臣の発表によると,3/9時点で接種が完了した10万7558人のうち,アナフィラキシーの報告事例は計17件。一方,100万人当たりのアナフィラキシー事例は,アメリカが5件,イギリスが20件で,10倍以上の発生率になっている。しかも17件がすべて女性だという。

 女性に対する注射針の刺し方が,相手に遠慮して少し浅くなっているとすると,皮下脂肪の厚さも厚めなために,筋肉に十分入りきらなかった薬液によって,たとえばリンパ液の循環経路を経由して全身に急速に薬液が広がり,アナフィラキシーを起こしたのではないか,という仮説である。

 インシュリン用注射器でも,事前に超音波エコー検査で筋肉までの厚みが10mm以下の人だけに使用する,ということだが,それでも十分ではないような気がする。

 1瓶から6回接種可能という世界標準の注射器の量産が始まっている。さらに,皮下注射用の注射器の針を3mm長くして7回接種可能にした注射器の量産も,3月末から始まるというテルモ、7回接種の注射器開発 コロナワクチン用、2回分多く:時事ドットコム (jiji.com)。いずれにしても,「ためらわず,根元まで刺してから注入」することを,医療機関は申し合わせた方がいいのではないだろうか。打たれる側はちょっと不安だが,ひょっとしたらこれでアナフィラキシーの発生割合も“世界標準”になれるのではないだろうか。