いつもは,地下鉄は始発駅なので,3本ぐらいやり過ごして座るのだが,今朝は切符を買ったりして時間がなくなったので,停車中の車両に乗り込んで,立つことにした。
ところが,発車時間直前に乗り込んできた若者が,筆者のすぐそばまでグイグイと近づいてきた。混んだ車内なので動きが取れない。普通ならそのままじっとしているところなのだが。
彼は,今どきの若者らしく,黒いウレタンマスクをしていた。そして,筆者の顔のそばでいきなり咳き込み始めた。手にはスマホ,耳にはBluetoothイヤホン。咳の間にマスクを押さえることもない。あと6駅は正直耐えられない。次の駅で降りて,別の車両に移動した。混んでいるのに,申し訳ないが,公共空間におけるこういうルール違反は耐え難い。しかし,注意した中年男性が殺される事件もよく報道される。ここはもう逃げるしかないのである。
同じ日の帰りの電車。こちらは郊外に向かう電車であり,いつもどおり15分ほど待って始発電車で座って帰ることができた。
ところがあろうことか,筆者の前にマスクなしの男が乗り込んできた。発車時間が近づくにつれて,乗客の数が増えてきて,このマスクなし男の膝がほぼ筆者の膝に触れるぐらいまで近くに立たれた。
とりあえず,5分ぐらい観察していたが,咳やくしゃみをする様子はなかった。しかし,絶対に咳・くしゃみをしないという保証はどこにもない。マスクなしで乗ってくるこの男に,袖で咳やくしゃみを押さえるという「咳・くしゃみエチケット」ができるという保証もない。
でも,せっかく座った席である。歩行者用高齢者バッジを試作--Kバッジと命名 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/11/4 に作ったKバッジは付けているので,何が何でも立ちたくない。
約2年ぶりに登場したのが,レインハットである。英国では,多少の雨が降っても紳士は傘をささない。レインコートとシルクハットという時代から,現在はレインコートとレインハットである。2020年に新型コロナウイルスの感染拡大が始まったころもそうだが,それ以前のインフルエンザから身を守るために,怪しげなことは承知の上で,電車の中ではレインハットを被ってきたのである。とにかく,座っている前で咳・くしゃみをされると,唾液飛沫の直撃を受ける。これをなんとか防ぐために,COVID-19禍よりもはるか以前から購入して使用していた。ほぼ使わなないことを前提に,カバンの一番奥に入れておいたのだが,久しぶりの使用である。顔も伏せていたので詳細は不明だが,10分ぐらいの乗車の間に,咳・くしゃみはなかったと思う。
いろいろなことにクヨクヨせずにノホホンと生きるのが,自分にも周囲にもハッピーな生き方だ,と言った人が身近にいた。しかし筆者は,とにかく一瞬たりとも油断したくない。いくら気をつけていても,COVID-19に感染するかもしれないし,道を歩いていたらクルマが突っ込んでくる,といったことになるかもしれない。高齢者になったとはいえ,まだ「いつ死んでもいい」という気持ちにはなっていないのである。
ナイフを持った男,ガソリンを持った男,そして感染症を知らず知らずのうちに感染して,サイレントスプレッダーになっている人。常識を知らないヤンチャな1割の人間に振り回されるのは不本意ではあるが,自分の命を守るためには,格好は悪いがとにかく逃げ回るしかないと思うこのごろである。