jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

香川照之:たった1つの過ちが人生の命取りになるかも--テレビ業界の袋叩き体質にはまる

筆者は,昔から香川照之は嫌いだった。役者だと思っていたら,歌舞伎の家系にいることを知ってビックリしたものだ。CMの派手な演出にも対応し,一方で子供向けの番組では,カマキリの格好をしたユニークなキャラクターで人気を博した。

 今回の銀座クラブにおける性的加害にしても,テレビ業界におけるバッシングのように思える部分がないわけではない。世の中には,女性の性を商品とする業界が存在する。そしてさまざまなグレードがある。提供されるサービスもピンからキリまである。

 自分が高いグレードにいるため,高いグレードの店を選び,高いカネを払っているのだから,何でもOKと思い込んでしまった節がある。一方でホステス側も,華やかな格好をして客をもてなす。客が勘違いを起こすような接し方もあるだろう。高いグレードの店のホステスとして,見た目は商品だが身体は商品ではない,という立場で仕事をしているため,身体を触られたことによって精神的な被害を受けたとして訴えた。

 正直言って,どっちもどっちである。相手が一般人ならば即,性犯罪だが,今回のケースは相手が客商売である。少しグレードの低い店なら,冗談で済ませたりできるレベルの行為ではないだろうか。

 これを殊更,仰々しく取り上げたマスコミだが,正直言ってかつての写真ネタバラシ週刊誌のFLASHのレベルと大差ない。狙い打ちされたと言えなくもない。本人も,ここまでバッシングを受けるとは思ってもみなかったのではないか。

 歌舞伎界なら,いまだにほぼ完全な男尊女卑社会である。歌舞伎役者にとっては女性関係は「芸の肥やし」にもなると黙認されたり,逆にわざわざ調達されたりもする世界である。もみ消しもお手の物である。暴力事件を起こしても,表向きの仕事が伝統芸能であるために,反省すればウヤムヤにされてしまう。伝統芸能というクローズの世界ならではである。余人を持って代えがたい世界だからである。

 歌舞伎の家系に生まれた本人が,勘違いするのも無理はないかもしれない。しかし残念ながらテレビ業界は大々的なバッシングキャンペーンを張ってしまった。テレビの世界はオープンな世界だからである。代役はいくらでもいる世界である。完全に潰してしまっても問題はない,というのがテレビ業界のやり方である。

 グレーゾーンにいるのが,音楽業界である。世界的なアーティストでも薬物に手を出すことがあり,その多くは芸術家という名のもとにウヤムヤにされてしまう。生み出される楽曲や演奏が多くの人を感動させる,という理由からだろうか。表舞台に出なくても,楽曲の提供で活躍することができる。余人を持って代えがたい世界である。

 今回の事件の本質はなんだろうか。性被害という言葉は出ているが,レイプ事件でもないので性犯罪ではないだろう。セクハラとも言えるが,相手は客商売であり,素人や一般人ではない。性的な言葉や行動が交わしても不思議ではない場所でもある。銀座だからといって客に理性があるわけではない。客商売で仕事をしている以上,性的な要素が仕事の原動力でもある。性的な要素に対する危険を認識した上で仕事をしているはずではないかとも思うのである。

 おそらくテレビ業界では,扱いにくい人物の1人だったのではないかと思われる。さもなければここまでバッシングはしないのではないだろうか。テレビ画面から葬り去りたいという意志が見え隠れする。

 テレビや映画などの一般エンタテインメントの世界から身を引いても,歌舞伎界や演劇界というクローズドな世界なら生き残れる可能性はある。表立った活躍をせず,まず地道に芸を磨き,端役でもいいから誠意を示せば,世の中からは受け入れられるのではないか。余計な出版などもしないことをオススメしたい。要は,筆者の楽しみであるテレビに出てこなくなれば筆者個人としては問題はない(ついでだが,お笑い芸人やYoutuberなども,クローズドな演芸場やインターネット上で活動するのは構わないが,テレビには出てきてほしくない,というのが筆者の考え方である)。

 性の問題は,男性にとっては常に加害者になる危険性を持っている。理性があろうがなかろうが,どんな高尚な仕事や立場にいようが,表の世界には出せない裏の世界がある。性に対する欲望があることが,生物としての価値だからである。その表と裏をきちんと整理できるかどうかは,理性の問題である。自分の立場を知り,適切な判断をすることが,特に男性には求められるいいサンプルだと思う。女性は常に,男性にとっての性の対象として見られていることを,改めて意識せざるを得ないのではないだろうか。それもまた,生物としての宿命かもしれない。