jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

信頼できる人がいなくなった今--自分しかないのか

筆者の親の世代は、戦前世代である。結婚といえばその親たちが決めた見合い結婚であり、夫の妻に対する権力は絶対的だった。意見することなど絶対になく、完全服従の世代だった。

   戦後生まれの筆者の時代は、自由恋愛解禁である。女性の選挙権も獲得でき、男女同権がうたわれた。競争社会であり、三高(高身長、高学歴、高収入)が評価の基準となった。背の低い筆者は、言わば落ちこぼれであり、ビジネスとなったマッチング企業による新種のお見合いに委ねるしかなかった。

   そして筆者の子どもの世代が、厄介な時代になった。

   筆者世代は、一般的な高収入を得るには高学歴プラス大手企業への就職というルートができていた。もちろん、さらに一匹狼のベンチャーで勝負することもできた。医者、弁護士などの専門職も、世の中からは一般的には高い評価を受けてきた。勉強してポジションを得るというのが王道だったのである。

   しかし、2000年を過ぎた現在、高学歴から安定した高収入を得られる仕事がほとんどなくなった。日本が世界に誇ったモノづくりの製造業は、一部の自動車企業を除いて壊滅状態にある。その自動車企業すら、すでに世界のEV化の流れの中では精彩を欠いている。10年先を見通すことができない。

   専門職の資格を取っても、医者も3K(危険、汚い、キツい)で外科や救急医療、産婦人科、小児科を目指す人は激減している。弁護士に至っては、企業の悪事に加担する以外に高収入を得られる仕事ではなくなっている。

    今や、高収入と言えば、何と東大クイズ王からのタレント稼業である。予備校講師からのタレント稼業も、認知されてしまった。

   そしてもう1つの高収入稼業が、犯罪である。

    日本のGDPを支えてきた製造業がなくなり、大企業といえば、通信キャリア、金融、保険、そして一部の観光業である。しかし、例えば銀行はすでに時代から取り残されつつある。お金の貸し先である先行投資する製造業がなくなり、利息を稼ぐことができなくなっているからである。当然、利息の付かない貯蓄離れも加速する。おそらく、銀行業務の半分が、今や個人投資の宣伝であり、証券会社が手数料ビジネスで生き残って来たのと同じ流れに乗ってしまっている。破綻も増えている。

   人間が避けて通れない命を商売道具にしてきた生命保険会社は、人口減少のために契約件数が減り続けている。そこで、数の増えている高齢者を食い物にする介護ビジネスに手を出し始めた。これもいずれは破綻するだろう。

 2000年以降,30年働ける会社に就職できる人はほとんどいなくなった。もともと,1つの会社に奉公しようという気持ちのある人はいなくなったし,それを受け入れてくれる会社もなくなった。転職に抵抗がなくなった,というより,会社が社員を大切に育てるという風潮がまったくなくなった。

 かと言って,資格を持って1つの仕事を30年完遂するという人もいなくなった。

 働く人もいい加減なら,雇う側もいい加減になっている。社員に対する経営陣の信頼性など,まったくなくなっている。

 定職が得られず,したがって収入も安定しない働き方が主流になっている。正社員ではなく,派遣社員,あるいは非正規社員という働き方で,生産調整に応じて働けなくなったりする。

 こんな日本で,結婚して家族を支え,安定した生活ができる人がほとんどいない。結婚もできなければ,家族もできない。

 そこにさらにとんでもないことに,家族がおかしくなってきている。親による子どもの虐待なんて,考えたことなかったが,現実に事件が起きている。その虐待がさらにエスカレートして,父親が娘を性的対象としてレイプするという家族の話題が紹介されていた。

 筆者は,娘に対して「世の中で100%信頼できる男性は,お父さんと兄だけだよ」と言い続けてきた。ただでさえ守ってあげる必要がある女性に対して,他人である男性は脅威である。したがって,性的関係のない男性の存在は貴重だと思うのである。

 その性と関係のないはずの父親が,娘をレイプするというのは,もうこれは地獄であり,人間としてあってはならないものである。

  被害者である娘が,勇気を持って告発し,父親を訴訟することになった。これに対して,父親の両親は娘を非難した。家の格に傷が付き,生きていけなくなるからという理由だった。そんな世間体を守る必要があるのかと思うが,親にとって息子をかばうのが当たり前だというのだろう。ここですでに常識から外れていると思う。ステレオタイプ的に考えれば,息子は母親に対してコンプレックスを持っている,つまりマザコンであったのではないか。それが,正常な夫婦生活ができず,娘に手を出すという常識ハズレの行動につながっていると思うのである。ある意味,この父親も精神的な被害者であったのかもしれない。もちろん,そんなことでこの父親をかばうつもりはないし,娘の被害が消えるものでもない。

 まず,経済的に苦しくなった日本では,何が起こってもおかしくないほど,日本人の心が病んでしまっていると思う。自分の存在に自信がなくなり,理性がなくなり,金のためなら犯罪にも手を染める。それで金が手に入り,味を占めて,のめり込んでしまう。常識と思わえるような感覚を失ってしまう。

 貧困に近い生活をしている人間は,少しの金で動いてしまう。大金を動かせる人間は,裏会計までしてまで金を隠そうとする。経営者の脱税,政治家の裏献金・・・。高収入であるはずの医者や弁護士も犯罪に手を染める。聖職であるはずの教員や宗教家が性犯罪に手を出す。市民を守る立場にある警察や消防,自衛隊が犯罪を犯す。国を支える政治家も,命を守る医者も,冤罪を救ってくれる弁護士も,知識や社会を教えてくれるはずの教員も,そして親すら,信じられない社会など,本当に恐ろしい時代になってしまったものである。

 あとは,自分を信じて,自分の能力を最大限証明する資格を取って,自信を持って自分を前面に押し出すしかないのだろうか。