jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

俳優とマネー広告は国民をミスリードする危険性がある--憧れの対象をぶち壊さないでほしい

コマーシャルの出演人物が,かつては俳優だったのが,近年はお笑い芸人が席巻していることに苦言を呈していた(「憧れの仕事」のレベルがここまで落ちたか--CMにみる芸人台頭 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/1/30)。企業の宣伝費削減により,CM出演のギャラが少なくなり,映画俳優や舞台俳優を起用できなくなり,単価の低いお笑い芸人を使うように広告代理店が画策したのだと考える。若者への人気アピール度から言っても,お笑い芸人の方がコスパがいいからだろう。年寄りにとっては迷惑な話である。

 俳優のCM起用で一時期問題になったのが,金融業,いわゆるサラ金のCMへの起用である。安易にお金を借り,高額な利子に悩まされる国民が出て,大問題になった。CMに登場した俳優からのメッセージを信用してしまったために,何となく安全と思って手を出してしまう。まさにミスリードである。当時,金融業の羽振りも良く,CMに膨大な資金を注ぎ込んだ。出演料の高額な俳優の起用ができたのは,この業界だけだった。その後も,プロ野球球団の買収など,さまざまに手を広げている。

 近年は,このころの「キャッシング」や「クレジット利用」において払いすぎがあったのを取り返せるとして,弁護士や弁護士事務所のCMが盛んである。このCMをテレビ以外ではほとんど見かけない。一時期,電車の車内広告もあったが,動画CMに変わってからはほとんど見かけなくなった。テレビの視聴者のほとんどが年寄りになり,バブルの頃にキャッシングした人たちだからだろう。

 令和に入って,貯蓄から投資へ,という政府の誘導が進み,NISA枠の拡大などで投資への誘導が進んでいる。NISAを銀行や証券会社が進める中では従来どおり俳優が使われるケースがあり,これもミスリードにつながっていると感じる。NISAは非課税の枠が広がっただけで,投資すれば儲かる,というものではないからである。銀行が証券会社と同じレベルのバクチを勧めているような気がして,ますます信頼が置けなくなっている。まして,新規参入組や不動産業界が設計したNISA商品は,投機商品である。リターンが多い可能性もあるが,リスクも高いと考えなければならない。さらに,「AI」を売り物にしている商品は,もっと胡散臭く感じる。

 もう1つの流れが,単価が高騰している金の売買である。金投資を勧める「金田先生」なる人物が登場するほか,金の買い取りのCMに俳優の高橋英樹が登場してきたのには驚いた。そして悲しくなった。

 かつて,映画俳優がテレビドラマに出ることはタブーだった。時代劇ドラマに出ることすらなかった。たしか,嵐寛寿郎の「鞍馬天狗」出演が最初だったのではなかったかと思う。その後は,時代劇を中心に,推理ドラマ,刑事ドラマなどで主役としての活躍があり,映画時代は雲の上の人だった俳優が少し身近な憧れの存在になってきた。しかし,CMへの出演は対象とする企業や商品が厳選され,相当限定的だったと思われる。

 広告への俳優の起用は,企業側は出費を伴うが効果が期待されるので◯,俳優側もギャラが適切に高いので◯,広告代理店もその評判で◯,そして視聴者も俳優の顔が見られて◯,と言いたいところだが,最後の視聴者については筆者レベルでは「✕」なのである。

 食べ物系のCMへの俳優起用やスポーツマン起用は相変わらず続いている。しかし,あまりに連発されると,かえって「実は売れ行きが悪いのでは」と思わせてしまう。また,現役選手の場合,CM起用後に何となく調子が悪くなっていることが多いように感じる。俳優は台本に沿って演技することが仕事だが,スポーツマンは自分のペースで演技するのが仕事なので,台本どおりだと調子が狂い,集中できなくなるからかなと勘ぐったりしてしまう。

 CMについては筆者は,お笑い芸人の台頭への憂慮とともに,清純派女優の「ヤバイよ」セリフへの苦言,そしておそらくJT(日本たばこ)が始めたと思われる意味不明なイメージ広告の乱立への苦言を持っている。寡占業界である広告代理店の暴走,そしてそれを許しているメディアの暴走を止めなければ,国民総白痴化はますます進行してより深刻な事態に陥るだろう。