筆者の周囲にも,Nintendo Switch 2で盛り上がっているグループがある。数人で構成するグループなのだが,ゲーム機は1台のみ。代わり番こに使って楽しんでいる。
正式発売日が2025/6/5で,それからまだ10日ほどしか経っていない。事前予約も含めて入手できたのは20%ぐらいと言われている。予約なしで店頭で購入できるのは,数ヶ月先になるという。
同社のHPで前身のSwitchの累計販売台数が1億5,212万台と記されていた(株主・投資家向け情報:業績・財務情報 - ゲーム専用機販売実績)。今回の予約できる人の条件として,会員登録や前機での使用時間など,厳しい条件があるにも関わらず,ヘビーユーザーは後継機の購入とプレイが必然な状況にあるようである。ゲームにまったく関心のない筆者には,異常な心理状態にあるように思えている。「ゲーム好き」というところから始まって,「ゲームマニア」を通り越して「ゲーム依存者」になりつつある人が増えているように思えるのである。
この3段階は,「ファン,オタク,追っかけ」とも言えるかもしれない。それは,ファン,オタク,追っかけについて,分析しているブログがあったからである(ファンとおたくと追っかけの違いって?|おたくちゃん)。追っかけは英語ではfollowerだとしているのだが,SNSのフォロワーより以上に物理的にフォローするようになれば,ストーカーでもあるとWikipediaには定義されていた。ゲーム依存も英語でいえばaddictive,つまり中毒性があるという言葉を思いつく。アルコールや麻薬,ギャンブルなど「止められない」領域に入る人が増えているのではないだろうか。
アルコールや麻薬は身体的な影響が大きいが,苦労はあるものの医療的な更生の道は残されている。しかし,ギャンブルやゲームなどは精神的な影響であり,高揚感という報酬を得るために手段を選ばなくなるという精神障害の危険性がないとは言えない。本当にこうしたエンタテインメントを野放しにしておいていいのだろうかと思う。ゲーム会社,ギャンブルの胴元は大儲けするだろうが,プレーヤーはカネと時間を浪費するだけでGDPへの貢献がまったくないと思うのである。
筆者は子供のころは貧乏だったので,好きな曲を聴くのにレコードすら買うことはできなかった。当時,FMラジオで歌謡曲の特集番組があると,家に1台あった学習用のラジカセを使ってカセットテープに録音し,聴きたいときはそのラジカセで聞くしかなかった。おそらく再生はもうできないだろうが,今でもそのカセットテープは持っている。
今の時代,音楽もゲームもなんでもスマートフォンで聴くことができる。Youtubeには違法アップロードも含めてさまざまな音楽や動画がアップされている。小学生,いや幼児のころからスマホを手にしている現代人は,いつでもどこでも好きな音楽や情報を受け取ることができる。
その音楽やゲームを自分のモノにしたいと思ったら,気軽に購入する流れができている。すでにスマホを契約した段階で購入と支払いができる環境が整っているからである。また,CDやゲームのパッケージなど,物品についても通販サイトから購入できる。
つまり,ファンからオタクになるための「所有欲」が,いとも簡単に拡大し,さらにのめり込むために必要な「カネ」をつぎ込むことが必要になり,手段を問わず目の前のカネ儲けに意識が向かう。普通のアルバイトでは間に合わず,闇バイトなどの高額バイトや一攫千金を狙ったオンラインカジノなどにまで手を出してしまうという,いわば道を外れてしまう危険性をはらんでいる。
ゲーム機1台を購入するのに,こんなバカげた騒ぎをするのが,現代人である。それはもう,筆者から言わせれば「精神異常」を起こしていると思うのである。
エンタテインメントは,日常の勉強や仕事から解放された時間にホッと気を抜くためにあると筆者は考えている。しかし,1つのゲームを攻略するのに数日間,仕事を休んででも寝食も忘れたかのように没頭したりするという話を聞くと,もはや頭がおかしいと思ってしまう。
スマホ歩きも,SNSへの投稿も,投げ銭も,もはや人類の進化から「発散・爆発」へと向かっているように感じる。戦争がなくならないのも,もはや人類の爆発である。スマホを下に置き,もう一度,地に足を着けて,今,目の前で起きている地球温暖化や環境破壊,戦争,犯罪を見直して,解決のための「進化」を遂げる段階にあると思う。しかし,生成AIの登場で,人類が自分で考えることをやめてしまっては,地球に未来はない。