筆者はキーボード派なので,当初スマートフォンのタッチ操作には懐疑的だった。ガラケーのキーボタンのキー操作でクリック感を感じながら入力するのが当たり前だと思っていた。疑心暗鬼で中古のスマホを手に入れ,タッチ操作やタッチ入力の操作性を数ヶ月にわたって確認し,ようやくスマホに乗り換えた。しかしその後も,タッチ入力の遅さが気になった。フリック入力は何度も挑戦したが,自分の操作感を合わないため断念した。現在は2ストローク入力に限定することで,思考速度に見合った入力ができるようになった。メジャーではない入力方法だが,キー入力アプリを見つけることができて幸いだった。
一方,ケータイ契約時に無料で使えるというタブレットをキャリアから受け取った。後から考えてみると,契約回線数を増やすという営業的な策略だったと分析している。キャリアの乗り換え時に回線契約も解除し,今はWi-Fi接続では使えるようになっている。8インチサイズで非常に軽量なので,主にクルマの中でのカーナビ用に使うことを目指してさまざまな挑戦をしてきたことは,過去のブログで紹介している。現在はバッテリーが劣化し,充電用のmicro USBコネクタの接触不良を起こしたため,お蔵入り状態にある。代わりに,今ちょっと話題になっているNXTPAPERディスプレイ搭載のタブレットを導入し,評価している。
ところが,どうにもこの11インチタブレットの利用方法が決まらず,宙に浮いた形になっている。ディスプレイも見やすいし,動作も軽快。重量もiPad系より軽い。性能的には問題がない。ただ,画面が大きい分,車載のカーナビ用には大きすぎて使いづらい。
このタブレットと組み合わせるためのキーボードも購入し,机上でノートPCのように使ったり,分離して寝転がって使う方法も試してみた。しかし結局,Office系アプリが入っていないので仕事に使うには力不足であり,メールのやり取りや簡単なブラウザ閲覧ならスマホの方が楽なので,なかなかタブレットの出番がない。
今度,ELECOMから新しいタッチペンが発売されるというニュースを見た。ペン先が1mmと細く,まるでシャープペンシルを使うような感覚で使えるという。
この記事を見て「筆者としては画面を固いペンで触れるのは嫌だな」と思ったことで,「画面を触れる」ことに生理的な拒否感があることに気づいた。つまり,固いペンで画面に触れるのは,画面を傷つけてしまうのではないか,という感覚が先に立ってしまうのである。
もちろん,タッチペンのペン先はプラスチックだったり,今回の場合は特殊な金属だが画面を傷つけることはない。また多くの人は画面保護用にガラス系の保護シートを貼っているから,ディスプレイに直接傷がつくことはまずないはずである。しかも,ディスプレイの表面も強化処理がされており,ちょっとやそっとで傷つくことはなくなっている。
それでも,液晶パネルの初期のころから知っている筆者にとって,当初はパネルに触るとその部分が色が変わる現象を起こす(TN液晶の特徴)感覚を知っているので,なるべくディスプレイの表面には触れたくないという感覚なのである。また画面をタッチして操作できる方式で,当初はディスプレイ表面に2層の透明電極を巡らし,指で押すことで電極が接触してスイッチが入るという方式で,タッチペンも先端がゴム製の軟らかいものが使われていた。現在主流の静電方式もあったが,当時は高級品だった。つまり,指やゴムのような軟らかいもので画面を触る,という感覚が先行しているため,固いプラスチックのタッチペンは使いづらいのである。
しかも,1980年代の早い時期に,手書きから日本語ワープロ入力に鞍替えしてしまった身としては,手書き,あるいは「手描き」入力にはまったく興味が湧かなかった。現時点でも,難読漢字を調べる際に使うぐらいで,一般入力にはまったく使わない。
ところが,タブレットがこれほど普及しているのはなぜかと,ふっと考えたところ,それはまさに「手描き」のニーズがそこにあるからだ,ということに気づいたのである。
まず,タブレットでお絵描きをしている光景を見た。最近のコミックやアニメの作画も,ほとんどがタブレット上での手描きなのだという。これを実現するために,より細い線がペン操作との遅れなく描けることが求められているらしい。したがって,「シャープペンシルで書いたような感覚」を実現できているとすると,ニーズに応えていることになる。
さらに,たとえばPDFを使った共同作業において,画面上に手書きで直接コメントを入れて返す,といった使い方が当たり前のように行われている。筆者なら,コメントツールを使って枠を作り,そこに文字をタイピングしてコメントするのだが,それをペンツールで直接手書き文字を入れるというのである。このためには,パソコンとマウスの組み合わせでは無理であり,タブレットとタッチペンが当たり前のように使われていることが理解できた。
ここまで書いて,筆者はお絵描きをすることもないし,手書きコメントをするつもりもないな,ということを改めて認識した。つまり筆者にとってタブレットは無用の長物ということになる。
何か,タッチ操作が必須というアプリを見つけない限り,せっかく中国から直輸入したNXTPAPERタブレットさえお蔵入りになってしまう。ちょっと真剣に考えないといけないなと思った次第である。