無人販売店で商品を盗む犯罪があとを絶たない。被害額が大きくなり,店を閉める経営者も出ている。同じように,万引きも増え続けているようだ。
万引きは常習性があると犯罪心理学では分析している。商品を手に取る行為のスリルだけでなく,首尾よく持ち出せた成功体験など,犯行を繰り返す理由になっている。主に広いスーパーマーケットなど死角のある店舗で,監視カメラの見えないところでの犯行が多い。なるべくバレないようにという心理が働いている。
一方,無人販売店での商品窃盗は,明らかに最初から犯行を行う目的で入店する。無人販売店は小さい店舗が多く,監視用カメラも多数取り付けられていることはあらかじめ承知の上で,また自分の行動が撮影されていることを承知の上で,堂々と窃盗を行っている。しかし,同じ店舗での犯罪を繰り返す犯人も多いようである。万引きよりも確信犯であり,タチが悪い。
盗撮も卑劣な行為である。個人の尊厳を踏みにじるほか,情報の発信など取り返しの効かない行為にまで発展する危険性があることを認識していない。
相手に顔を見せないという意味では,あらゆる詐欺犯罪も卑劣である。かつては商品が偽装の対象だったが,オレオレ詐欺では詐欺犯罪者が家族を偽装した。最近の詐欺は,警察官や裁判官などの権力者を偽装している。正直者の心の隙間を突いてくる。
人件費削減のための無人販売店は,かつては農家の軒先で採れたて野菜・果物を販売する形態で,ほとんどが市価よりも安く新鮮な野菜を買えるので,お金を置いていかない人はまずいなかった。現在の無人販売店は,冷凍食品などそれなりの値段のものが多く,持ち逃げされれば被害額は大きくなる。防犯カメラがあっても,帽子やマスク,サングラスをして入店すればまず個人の特定はできない。
入店時,退店時のチェックを厳しくすれば,犯罪者は入店しないが,コスト高になってしまう。しかし,万引きや窃盗を許してしまうような販売方法は,存在そのものが望ましくないと思う。
監視の方法を強化したり,AIを利用して分析するなどの方法も考えられるが,開発コストに見合う利用料金を設定することはまずできない。それは,個々の店舗や個人のコストではなく,国家が投資してもいいのではないかとも思う。
詐欺電話は,国際電話不取扱受付センターで国際電話をシャットアウトできるようになった。海外に拠点を置き,そこから掛け子が電話するというパターンをシャットアウトできる。国内でもフリーダイヤルを使った営業電話でアプローチしてくるケースも増えている。拒否登録もイタチごっこになっている。NTTなどの回線業者が,契約時にもっと厳格にすべきではないだろうか。
個人のプライバシーとのトレードオフになるが,国民皆番号であるマイナンバーベースでの個人情報管理をできる仕組みは必要なのかもしれない。日本版CIAとも言えるかもしれない。しかし,日本にそのような組織が構築できるとは思えない。管理する側に性善説が求められるが,それがありえないからである。
性善説な生成AIは作れないものだろうか。設計思想の中で,性悪な処理をはじくような仕組みは作れないものだろうか。そして,世界中の人がその考え方に従うようにはできないものだろうか。