jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

デジタル改革は,「省庁ができてから」動くんでしょうか。

デジタル庁が2021年9月1日に発足することが2021/5/12に参議院で可決して決まった。2020/9/16に菅政権が発足した際に設置が提案されていた。筆者のブログでは,2020/9/26にコメントしていた 日本のデジタルプラットフォームの不安--エンジニアが桁違いに少ない - jeyseni's diary (hatenablog.com)

 ところが昨日2021/5/11に,平井デジタル改革担当大臣が,ワクチン接種の予約システムを「今後は政府主導で全国共通のシステムを提供する可能性がある」とコメントした 平井大臣「ワクチン予約システムを全国共通化する可能性ある」 (msn.com)

 ワクチン接種の予約システムが最初に始まったのが,2021/4/5の東京都八王子市だが,電話がつながらない,ネットワークがつながらないなどの不具合が発覚していた ワクチン接種対象者16万人に対して1900人分のワクチン--高高齢者が取り残される懸念 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/7。システムがダウンしたのが,5/3の横浜市である ワクチン予約に「正義」はあるのか - jeyseni's diary (hatenablog.com)。この間,いったいいくつの自治体で,予約に不具合が起きただろうか。

 筆者は,ワクチン接種の電話予約では回線集中でうまくいくわけがないので,行政が接種日と場所を指定する選挙投票方式を提案していた ワクチン接種は「選挙投票方式」で行政が管理して実施してほしい - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/1/15。八王子市で予約が始まるまでに3ヶ月あった。八王子市で予約が始まってから今日までさらに1ヶ月。そしてデジタル庁ができるのがさらに4ヶ月後。そこから仕事を始めて,いったいいつ,この「ワクチン予約システムを全国共通化」が実現するというのだろう。2020/9/16の新政権発足以来,いったい何をしていたのか。いや,いったい何かをするつもりがなかったのか。

 予算を付けてからでしか動かないのか。こういうデジタルシステムが日本には必要だ,ということを提案するのが仕事ではないのか。提案を受けて大手コンピュータ関連企業なら簡単につくれるのではないか。そこに,マイナンバー情報をくっつければ,簡単に日本共通システムなどできていたはずだ。

 台湾で,一般人の作ったシステムに国の情報を連携して,利用価値のあるシステムを作った例を紹介した それでもまだ「電話予約」「Web予約」しか手がないというのか - jeyseni's diary2021/4/26。この中で筆者がコメントしたことをあえてもう一度ここに記す。「台湾では,民間人が作ったアプリを政府が協力して国全体で使えるようにした例がいくつもある。台湾のデジタル大臣のオードリー・タン氏が鶴の一声で開発が進んだ。日本はまず,こういう感性の持ち主が政治側にいないように思う。」

 筆者は,google フォームを使った事前予約システムのプロトタイプを提案した ワクチン接種データベースの仕様を提案 - jeyseni's diary 2021/4/23。ワクチン接種ができる日をすべてチェックしてもらい,あとは年齢,基礎疾患などの情報から順次接種日と場所を割り振っていく仕組みである。マイナンバーを必須項目としてあるので,個人を特定できる。吸い上げた情報とマイナンバーデータベースを照合すれば済む話で,正直,パソコンのデータベースソフトでも簡単に予約割り振りができると思うのである。googleに情報は漏れるかもしれないが,その他の仕組みはセキュアネット上で行われるので,情報漏えいの心配もない,とまで書いているのである。

 実際筆者は,このgoogle フォームを使ってクライアントの個人情報の登録をしてもらい,これを顧客データベースとしてセキュアに管理する方法をもう2018年から運用している。データベースを元に,案内メールの発信,メールがない場合はFAXの発信や手紙の印字などを行うが,メール文やラベル印刷などの出力もほぼ自動化している。1週間もあれば仕組みは作れるようなシステムである。

 日本にもYouTuberが多数出現し,新型コロナウイルス禍の中では多くの人がzoomイベントを手掛けている。筆者も2020年1月に新型コロナウイルスが話題になったころにzoomを見つけてインストールし,当時まだ話題になっていなかったテレワークのツールとしての評価を始めて,その有効性を感じていた。そのうち世の中がzoomだらけになる中で,オンライン対面だけがテレワークの必須ツールではないとコメントした ZoomよりもAcrobat Reader。ハンコの書類回覧をメール添付で実現 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/3/30。実際,ビジネスの場では打ち合わせや情報交換はメールと電話でほぼ事足りるが,書類の回覧や稟議の仕組みがまったくなかったので,テレワークには「ハンコ」の仕組みづくりが必要だとコメントしたのである。

 その後,zoomがさまざまなイベントに使われ,さらに同様のテレビ会議システムがオンライン授業などに使われるようになった。子どもたちが自分たちで打ち合わせに使ったり,さらにその動画を編集して作品にするなど,筆者の思わぬところで世の中はデジタルに動いている。

 その中での「電話予約」というアナログな仕組みで,しかも自治体への丸投げという政府,政治家の感覚が,筆者には理解しがたい。デジタル・リテラシーのかけらもないともコメントしていた。そもそも,2020/9/16のデジタル庁構想の発表の後,平井氏が関連担当者の会合を行った,と聞いたとき,「これをオンライン会議でする,というぐらいの感覚がなくて,何がデジタル庁だろうか」と周囲に話したものである。

 アメリカのパイプライン企業がサイバー攻撃を受けて,燃料の高騰などが心配されるという報道があった。デジタルの最先進国でも,犯罪者との技術競争はイタチゴッコである。日本へのサイバー攻撃は,赤子の手をひねる程度の簡単さで実現できるだろう。しかし実際は,簡単パスワード利用やパスワードの使いまわしなど,利用者側のデジタル・リテラシーの低さが原因なことが多いと考えられる。

 それよりも,世界的に重要な情報が日本にはない,ために攻撃されないのかもしれない。北朝鮮大陸間弾道ミサイルをすでにほぼ開発ができている。ターゲットはアメリカである。ならば同国の目の前にある日本など,一瞬で攻撃できるだけの武器もシステムもすでに持っている。イージス・アショア配備をめぐるゴタゴタなどを見せれば,相手に手の内を見せているようなものである。何度も書くが,情けない国におちぶれてしまったものだと思わざるをえない。