大谷翔平さんや八村塁さんなど,海外で活躍する日本人選手が増えている。一時期は,サッカー選手の活躍がマスコミには大きく取り上げられたが,今は大谷さんばかりが話題になる。2時間のワイドショーのうち,大谷さんの話題はその1/3の40分にものぼる。特にホームランを打った翌日はすさまじい。
大リーガーの現役や過去の記録と比べても,大谷さんの実力は本物である。しかも,投手,打者の両方で大活躍ともなれば,アメリカのマスコミも日本のマスコミも,持ち上げ,分析し,コメントを集めて報道する。その気持ちは分からないわけではない。
しかし,正直言って,大谷さんがどれほど活躍しようと,八村さんがどれほど活躍しようとも,「日本」が世界一になるわけではない。個人の名誉であっても,その個人が背負っている日本や日本人の名誉になるわけではない。まして,日本の経済にとってプラスになるわけでもなく,また日本人の世界における位置が高まるわけでもない。
申し訳ないが,スポーツはエンタテインメントの世界である。政治・経済・社会という世界の骨組みとは関係のない,潤滑剤の役目は果たすが,それ以上でもそれ以下でもない。どんどん頑張って,どんどん稼いで,億万長者になって,世界的有名人になって,それで結構だが,その間に日本という国はどんどん離れていってしまい,ひょっとしたらなくなってしまうかもしれない。
別に大谷さんや八村さんの責任でも何でもない。正直言えば,すべてマスコミの助平根性のせいである。マスコミが,視聴率を取れるネタにしか食いつかないからである。そのマスコミの表舞台に立っているのが,お笑いタレントばかりだというのだから,まさに笑止千万である。この傾向がなくなるはずがない。
日本という国が,政治,経済,社会のいずれの面においても,崩壊の一途を辿っている。政治腐敗,汚職,詐欺,凶悪犯罪,そして差別など,暗い話題ばかりである。
かつては,ベースワーカーが辛い肉体労働をして世界に誇れる製品を製造し,経済を支えていた。その中にあってのエンタテインメントは,仕事のストレスを緩和し,明日の活力のために必要な潤滑剤だった。
しかし,現在はガムシャラに働く人はなくなり,ゲームと投資に時間を費やし,国にとって何の役にも立っていない中で面白さをさらに求めようとする。いわば堕落の一途を辿っているのが日本である。
その中で,大谷さんがいくらホームランを打とうが,八村さんがいくら3ポイントシュートを打とうが,ただすごいねすごいねと言うだけで,明日の日本の経済には何のプラスにもなっていない。
民放は正直言って要らない。そしてNHKもAI音声合成でニュースを流すだけでいい。貴重な放送の電波を無駄遣いしないでほしい。