jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

万博での空飛ぶクルマの故障は,モノづくり能力の衰退の象徴--デジタルに頼りすぎてデザイン重視に走った結果

大阪万博:破損した「空飛ぶクルマ」、安全確認できるまで運航見合わせ…部品2個が落下【動画あり】 : 読売新聞 (2025/4/27)。

 こういうニュースをブログで取り上げると,ほらまた万博批判だ,と捉えられかねないが,「空飛ぶクルマ」すぐに開発禁止を要望 - jeyseni's diary というブログは2021/11/9に筆者がブログを始めた最初の頃に書いている。すでに,中国では「低空経済」という言葉が使われているように高度1000m以下の低い空域でのドローンを中心とした空輸ビジネスが成立し,その中でお客を地域間のシャトル運行する「空飛ぶタクシー」も運用され始めている。

 しかしそれは,街中での運用ではなく,中国のように都市間に人がほとんど住んでいないようなエリアで,しかもその都市間の物流や人的移動がペイする,たとえばすでに必要に迫られて高速道路があるとか,鉄道があるといったような場合に実現可能なインフラである。離島と本土の間といったそもそも物流のインフラが細いところで,空飛ぶクルマのような高付加価値が求められる物流・交通インフラは経済的に成り立たない。

 さらに,自動車,航空機,ヘリコプター,そして鉄道などは,人の命を預かることが前提で厳しい審査があり,それに対応できるモノづくり企業の組織力,人的資質が絶対不可欠である。しかし,ドローンや空飛ぶクルマの開発企業のほとんどが,単に3D設計ソフトでデザイン重視で3DCGでプレゼンだけするような企業である。モノづくりの基本を知らないだろう。強度計算や危険率の考え方もないし,部品づくりは設計図を中国企業に送って作らせ,それを国内で組み立てて作るにしても,組み立て時のボルトの強度や締め方,メンテナンスの仕方など,何一つ経験のない中で,形だけまとめて,「飛んだ,飛んだ」と言って喜んでいるようなベンチャー企業なのではないだろうか。

 日本でも,有数のモノづくり企業である三菱重工業IHIなどが開発したロケットですら,失敗を繰り返す。ましてや,名前を売りたいだけのエセベンチャーが作った手作りのロケットなど,失敗して当たり前,飛んだら儲けもの,ぐらいのレベルである。逆に,米SpaceXのように,ベンチャーながら月に2本もロケットを打ち上げられるほどの企画力,営業力,そして人的集約力があれば,失敗を繰り返してもその経験を生かして次のミッションが続けられる。日本のベンチャーにその余力はないだろう。

 空飛ぶクルマも,見ているとまるでオモチャである。すでに高速道路や鉄道,さらに新幹線網まで構築した日本において空飛ぶクルマを使える環境は「ない」と断言する。あるのは,広大な土地と経済力を持つ中国やアメリカぐらいだと思うが,プライベートジェット機とそのインフラが整っているアメリカではほとんど売れる余地はない。中国だけが自国内にニーズがあるし,これからも伸びる分野だと思う。それを真似する必要はまったくない。