jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

トランプ大統領は最終的に核兵器を使いたいのではないかという私的分析中--deal戦術からの逸脱

もともとは企業経営に手腕を発揮してトランプ王国を築いたドナルド・トランプ米大統領である。deal(取引)で相手を威嚇して交渉の席に着かせ,相手の判断を迫る。その動きを読んで自分に有利な条件で交渉を成立させる。関税をdealに使った世界との駆け引きは,ある意味で見事に成功した。まさにアメリカ・ファーストを印象づけた。

 ウクライナ紛争においても,ロシアとの間に入って3者のnegotiation(交渉)の席を設けた。さまざまなdealを仕掛けたが,NATOというヨーロッパ諸国と組んだ枠組みが彼にとっては足かせとなり,着地点が見つかっていない。

 dealで交渉の席に着かせることができない相手に対して,ガマンができなかったのか,実力行使に出たのがベネズエラのマドゥロ大統領の拘束と国外排除・裁判だった。アメリカに対する麻薬の輸出を容認したことに対する報復措置である。後任となったロドリゲス大統領は,トランプ大統領の指示に従うことで混乱を収めたが,独立国として明確な政治干渉を受けていることに対する不満が膨れてきているという。ただし,麻薬産業が同国の経済を下支えしている事実は,一般常識からは容認できないと筆者は考えており,その改革には取り組んでほしいところである。

 さらにイランに対しては,核開発を進めていることを容認できないとして,軍事作戦を決行してしまった。本来なら,IEA(国際エネルギー機関)が世界の核の監視をおこない,軍事目的での核開発についての線引きをするはずだが,査察を拒否するイランや北朝鮮など,制御の効かない国に対して実行力がないことに対して,トランプ米大統領が不満を爆発させ,実力行使に出てしまった。

 ウクライナに侵攻を仕掛けたロシアも,イランを爆撃したアメリカも,相手がすぐに白旗を挙げて降参するだろうと踏んでいたのかもしれない。核兵器はもちろんのこと,通常兵器や兵力においても圧倒的な力の差があるからである。しかし,ウクライナは隣接するNATO諸国に支援を求めるとともに,ドローンを使った新しい戦い方で反撃に出た。対するロシアは思わぬ反撃に遭い,イランから自爆ドローンを導入して対抗している。これに対してウクライナは,ロシアのドローンに対してドローンで防戦する体制を構築した。地上戦での一退一進が続き,兵士の人的損失が拡大し続けている。もはや,この戦い方ではアメリカ製の高価な迎撃ミサイルシステムを導入させることもできず,トランプ米大統領もウクライナ紛争からはdealとしての手を引き,当事者国であるヨーロッパのNATO諸国に任せた形になった。

 一方,イランに対しては,アメリカはイスラエルと共同でおそらく数千ヵ所の軍事拠点を破壊し,イランのトップだったハメネイ師の殺害にも成功したにもかかわらず,まったく進展がない。それどころか,イランはイスラエル以外に西側に石油を輸出しているサウジアラビアやUAE(アラブ首長国連邦),クウェートなどの周辺国の攻撃と,その輸出ルートであるホルムズ海峡の機雷による封鎖という作戦に出た。イランの海岸線と広く接するペルシャ湾,ホルムズ海峡,オマーン湾という石油タンカールートを封鎖することは,イランにとってはある意味でオールマイティなカードだった。イランに対する軍事侵攻に対してこのカードを切れば,世界中の経済を混乱させられる。また,西側に石油を供給する各国の石油基地を攻撃することも,もう1つのオールマイティなカードである。トランプ大統領は,西側の石油基地の攻撃をさせないために先手を打ってイランのミサイル基地の破壊を進めたが,ホルムズ海峡の機雷による封鎖に対してはイランが先手を打ってしまった。これに対して,石油の供給を絶たれた西側諸国の軍事協力が得られると踏んでいたトランプ大統領だったが,今のところイランに対して軍事報復をしてまでアメリカと共同作戦に加わる国は現時点では皆無だった。手持ちの駒があると思っていたトランプ大統領にとってはdealの失敗ということになるだろう。

 2026/3/19に,日本の高市首相が訪米してトランプ大統領と会談する。イランとの紛争が終結すれば自衛隊の掃海艇を派遣するという約束はできるが,それ以外は手持ちの駒はない。アメリカからの石油購入の話は出すだろうが,交換条件となる駒がない日本としては訪米の意味があるのだろうか。かえってアメリカの同盟関係の強さをアピールしてしまうので,次の標的にされてしまう危険性もあると筆者は心配する。

 イランにはおそらくまだミサイル発射能力があるだろう。追い詰められたネズミとして,アメリカ本土ないし周辺国,そしてアメリカ同盟国に対して核弾頭まで使う危険もある。しかしトランプ大統領はそのタイミングを待っているのではないだろうか。それに対抗する形でアメリカの持つ核兵器で一気に勝負を決めようと考えているのではないのか。

 トランプ大統領のdealによる交渉術は,ビジネスマンのセンスとして理解できるものだった。現時点でも,発言がコロコロと変わるのはdealでもある。しかし,その先のnegotiationが難しい案件でdealが通じなくなっている。トランプ大統領もまた,追い詰められたネズミ状態になりつつある。常にミサイル発射ボタンに手を置いているアメリカ,ロシア,北朝鮮のリーダーは,即刻排除しなければ,もはや地球に平和は訪れないような危険を感じる。しかし,「愛」と「思いやり」を語る共和党の新しい政治家ジェームズ・タラリコ氏の路線では,国民は守れても地球平和は語れないと思う。