筆者の20年モノのセレナが現在,車検に出しているため不在である。代車として新しい軽自動車を借りている。
エンジンスタートはボタン、パーキングブレーキは左側のフットペダルのタイプである。何度か乗っているので、だいたいの使い勝手は分かってきている。
さて、駅前で家族の帰宅待ちをしている時に、ふと厄介なことに気がついた。ドアロックである。
駅前でもどこでも、車内にいて人待ちをするとき、誰がドアを開けるとも限らないのでドアロックを掛ける。筆者が免許を取った昔は教わらなかったが、最近は走行中もドアロックを掛けるように指導されているらしい。発進前にドアロックを操作するようである。
スマートキーがクルマの近くにあるので,ドアの外の解錠ボタンを押せばロックが外れるのではないか,と一瞬考えてゾッとしたのだが,息子に聞くとスマートキーが車内にある場合,車外からの操作はできないとのこと。車内と車外を認識しているので,キーの閉じ込めもないとのことだった。
それは良かった,と思った半面,「ドアの開閉,エンジンのオンオフのためだけに,わざわざスマートキーは必要なのか」といういつもの疑問がまた沸いてきてしまった。
スマートキーになってから,クルマの盗難が増えているような気がする。リレーアタックという手口を認識していただけなのだが,その後,CANインベーダー,イモビカッター,コードグラバー(ゲームボーイ)など,新しい手法も使われるようになっているらしい。いずれも,スマートキーを稼働させるためにクルマ側から発している微弱な電波を逆利用して,スマートキーで操作したように見せかけてクルマを盗んでいるようだ(車の盗難手口や盗難防止グッズは?被害時の対応方法なども解説|三井住友海上 (ms-ins.com))。
こちらの保険会社の情報をさらにいただくと,盗難を防ぐためには「ハンドルロック」や「タイヤロック、ホイールロック」など,物理的な鍵を掛けたり,センサーライトや防犯カメラで監視したり,AirTagなどで盗難後に追跡したりと,実にクラシックな方法が紹介されている。鍵でロックを掛けるのなら,初めからクルマのキーが物理ロックでもいいような気もする。
もちろん,物理キーは簡単に開錠できてしまう世の中である。特に,クルマ用の物理キーが相変わらずのピンシリンダーキーで,ピッキングに弱い。ドアが開いてしまえば,エンジンキーは回路直結で簡単にエンジンを掛けることができる。スマートキーはこの鍵穴がなくなる分,盗難に強くなるはずだったのだが,逆に電子的に開錠される危険が高まってしまった。
最悪,ガラスを割って盗難される荒っぽいケースも増えており,こうなるとどんな手を使っても防ぎようがないとも言える。
盗難防止のためにハンドルに長い棒を固定してハンドルをロックする方法は,かつて海外で行われていることをテレビ報道で知って「日本は安全な国だな」と思ったものだが,今や日本もあらゆる犯罪が横行する危険な国になってしまっているのを感じる。トータルコストから考えると,窃盗意欲を無くさせる大げさなハンドルロックが一番効果的に思えてきた。個人で運転を楽しむためにクルマを所有している人は,少なくともハンドルロックは購入すべきなのかもしれない。ファミリーカーが窃盗される確率は低いし,取り扱いの面倒なハンドルロックは家族には不評だろう。
家の鍵は,現在の標準がディンプル式シリンダーキーのダブルロックである。電子式の鍵や,スマホで操作できる鍵も登場しているが,勝手に動作したりしないか,掛け忘れはないか,と心配になるので,やはり物理キーの方がいいような気がする。それでも,ガラスを割って侵入するような荒っぽい手口が当たり前のようになっていては,犯罪を防ぎようがない世の中になりつつある。きちんと戸締りをして,しっかり防犯していることをアピールする以外に,身を守る方法はないのかもしれない。