相変わらず,高齢者による「アクセルとブレーキの踏み間違い」という自動車事故が報道される。高齢者だから事故が多いのではなく,「高齢者が不慣れな新車を運転」したことで,事故につながっているのではないかと素人的に推測している。この辺り,事故とクルマの車種,車格,機能などとの相関を調査してほしいものだと思っている。
というのも,個人的な見解だが,昨今の新しいクルマは「次元が変わっている」と感じるからである。
筆者が現在乗っているワンボックスカーは2000年型で,すでに25年が経過し,一般には耐用年数を超えたクルマである。自動化技術としては,オートマチック,リモコンキーロック以外はなく,スライドドアのオートクロージャ(閉)のみオプションで加えた。
これを昨今のクルマと比較してみると,キーレスエントリー,前照灯自動点灯,スライドドアオート開閉,後方カメラのほか,障害物接近センサー,踏み間違い加速抑制システム,衝突被害軽減ブレーキなどが加わっている。いわゆるサポカー仕様になっている。
さらにハイブリッドカーやEVになると,アクセルを踏んでもエンジンの吹き上がり音がなく,動いているのかどうかもわからないほど静かである。
前期高齢者である筆者は,幸いなことにまだそれほど身体の衰えは感じていないし,歩くスピードもそれほど遅いわけではなく,つまずくこともほとんどなく,動作は比較的機敏な方だと思っている。しかし,歩いていて気が付いたら若い人に追い抜かれていたり,それをムキになって追い上げようとしても追いつかなかったりする。もちろん脚の長さの違い(筆者は短足・・・)もあるだろうが,脚力を含めて筋肉が衰えていないとは限らない。何しろ,ここ30年ほどは長距離を走ることもなく,短距離ダッシュをすることもほとんどない。階段を駆け上がることもない。
もう1つ感じるのは,視力の衰えである。軽い老眼が始まったのはもう20年も前のことで,手元の仕事をするのに1.5度数ぐらいの老眼鏡は欠かせなくなってしまった。それでも,遠方を含めて9割以上の情報収集をするのに裸眼で十分であり,健康診断における視力は1.0ないし1.2は確保している。
ところがこれが動体視力になると一気に自信がなくなってくる。かつては電車に乗っていて通過する駅の駅名看板を読めたものだが,近頃はとんと見えなくなった。またコントラストのある文字でもややダブって見えることがある。目を細めるとはっきり見えるようになるが,その間に少し時間が必要になる。高速道路で指示看板を見ようとして,少し判断が遅れぎみになり,ヒヤッとすることがある。
年寄りになると頑固になって,自分の自覚症状をあまり明言しなくなる。その代わりに「運転歴50年」などと自慢してしまう傾向にある。
先ほどのハイブリッドカーやEVの例では,場合によっては耳も遠くなっている可能性もあり,さらに情報をつかみにくくなっているかもしれない。
そして,判断できたとしても,その後の反応時間は若いときよりも長くなっている可能性があり,回避動作などを若いときと同じようにはできないかもしれないのである。
高齢者に対する免許更新時講習では,反射神経の測定と視力測定などがされると思うのだが,さらに認知症チェックも行われると聞いている。しかし,どうもそれだけでパスさせてしまうのは危険なような気がする。
むしろ,「運転歴50年」で慣れた旧タイプのクルマに乗っているのか,バリバリの新車に乗っているのかまでフォローして,その評価をした方がいいと思うのである。
筆者も,人のハイブリッドカーを運転したときに,普段のガソリン車と同じような感覚でアクセル操作をしていたので,燃費が悪かったという経験をしている。新しいクルマにはそれなりの運転の仕方があるからである。軽ワゴンを運転したときは,あまりに非力を感じて最初はアクセルをベタ踏みしていたが,オートマの切り替え回転数が上がり気味になり,エンジン音が大きくなり,おそらく燃費も悪くなっていたと思う。少し加減して踏み込んだ方が,スムーズにギアチェンジしてスピードを上げることができた。
最悪,70歳以上になって新しいクルマに買い替えるような場合,そのクルマを使った運転実習指導を数時間するなどの対応があった方がいいと思う。最適な使い方ができるようになるまでわからないかもしれないからである。
あるいは,新車の販売をしないということも考えられる。さらに,多くの新機能をすべてオフにして,旧タイプのクルマに近い運転感覚になるようであれば,そういうモードを提供した方がいいと思う。
高齢者の事故を見ていると,PriusやAquaといったハイブリッドカーの新車が事故を起こしている印象がある。事故車の車種を報道しないのは,クルマが原因と思われたくないメーカーに対するメディアの「忖度」なような気がするのである。