jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

備蓄米放出でなぜ「高値入札」になるのか--値段を抑えるなら飼料並み価格または元価格で放出し,それ以上の価格設定を禁じる必要があるのでは

2025/3/27に,2回目となる備蓄米の入札が行われた。備蓄米の放出については,タイミングが遅いことと,量が少ないこと,そして価格を入札で自由設定することに対して異議を唱えてきた(AI大臣、AI官僚を作らなければ--総合的判断ができない - jeyseni's diary 2015/2/17)。

 3/11に行われた第1回入札では,政府の決めた基準価格を上回る最高値の業者に落札されることになり,93%をJAが引き受けることになったという。

 さて,落札価格はいくらで,それを市場投入するのにいくらで出すのかを考えたとき,当然利潤を取るために市場投入価格は落札価格よりも高くなる。つまり,入札業者の中で一番高い値付けをした業者に売り渡した上に,その業者はさらに高値で市場に売ることになる。政府の決めた基準価格も,入札価格も,市場投入価格もいずれも明らかにされていないが,その後も市場の米価格が上昇を続けていることを考慮すると,販売価格はおそらく5kgで4000円ぐらいになってしまう。これでは流通量は増えても値段が下がるはずがない。

 筆者が思うに,備蓄米を緊急放出するに当たって,備蓄米を管理する農水省から見れば,入札で高値を付けてくれた方が政府は損をしなくて済む。したがって,最低価格の設定と高値入札という方法を提示しているわけで,最終的にJAが落札したというシナリオには何か裏取引があったのではないかと想像される。何しろ電子入札であり,結果も公表されていないからである。

 しかし,これは逆ではないのか。市場価格が5kg2000円だったものが3000円になった段階で,「市場適正価格2000円に戻すために備蓄米を放出して供給量を増やす」とした上で,「市場適正価格2000円を上回る価格で販売することを禁止」し,さらに「これに違反した場合,団体名の公開と取引停止とする」とすべきではなかったのだろうか。

 そして,備蓄米の放出にあたり,その価格はたとえば1500円とし,取り扱い業者は市場価格が2000円になるように卸したとしても利益は確保できる。その差額は,ガソリン価格の補助と同様,税金で補うしかない。そのための予算がないのなら,ガソリン代補助に充てていた税金を一時的に備蓄米放出時に補填すればよかったのではないか。

 1回目の入札から2週間経ったが,まだ市場には出回っていない。ある意味,“予定どおり”来週のほぼ4月に入ってからになるのだろうか。せめて今週末の3/29,30にならなかったものか。しかし,その価格は5kg4000円レベルから下がることはほとんどないだろう。仮に安めに3700円ぐらいの値段にしたとして,一瞬で売り場から消えてしまうからである。2回目入札分は,さらに複雑な構造になってしまっていると思われる。

 野党は,なぜここを追及しないのか不思議な感じになる。石破首相の10万円商品券が庶民感覚と違うというなら,いまそれを追及して予算を通さないというのは,単なる「具体策のない条件闘争」であり,具体的な条件を出すトランプ大統領の「ディール(取引)」に比べると,単にダダをこねる子供のようにしか見えない。

 結局,これらは「官僚」の言いなりである。つまり官僚は損をしないし,天下り先を保護する,というこれまでと同じ繰り返しになっているということなのではないだろうか。

 政治評論家も,兵庫県知事問題など厄介な問題山積で,備蓄米放出にまで手が回らないのかもしれない。結局は,政治家に向けた,あるいは政党に向けた批判しかしないからだろうか。まあ,具体的な政策のアイディアがあるのなら,政治家になればいいし,元政治家の評論家がもう一度政治家になって具体的な活動をしてもらう方がいいかもしれない。橋下-泉の政界復帰論争は泉氏側に一理あるのだが,あとは選挙民の判断ということになるだろう。まあ,こうした政治劇に乗じてちゃっかり儲けている出版社も多い。こちらも癒着の構造がありありと浮かぶ。