jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

今,行ってみたい国はあるか--関西万博で日本が発信できたメッセージは皆無

海外からの万博来場者から“ある不満”…「注文する時に面倒」「パビリオンの映像の内容がさっぱり」 英語版チケットサイトの利用規約同意書は日本語!? 関大教授「国際博覧会という意識が念頭にないのでは」(ABCニュース) - Yahoo!ニュース (2025/5/21)。5/26には来場者500万人を超え,目標とされる2820万人を目指す。

 目標のうち,海外からの来場者予想は350万人で12%だというが,現状の数字がまったく報告も報道もされない。

 そもそも,万国博覧会とその開催地はどういう関係にあるのだろうか。

 1970年の大阪万博。日本中が興奮のるつぼになった。当時の日本にとって,アメリカもソビエト連邦も超先進国。片や月に初めて降り立ち,展示された月の石はただの石だったが宝石のようにも見えた。ソ連も最新の宇宙航空技術を展示した。日本は戦争の敗戦から復興し,米ソに追いつこうとして自身の最新技術,そして未来技術を展示した。技術開発で切磋琢磨し,人類の幸福と平和を目指そうという気持ちにあふれていたように思った。そのような先端的な展示を開催国である日本国民は興奮して見学した。

 2025年の関西万博は,その後の半世紀で半導体もコンピュータもインターネットもクルマも宇宙開発も,そして生成AIもとんでもない進歩を遂げた。今,日本が追いつける技術がそこにあるのだろうか。アメリカは「アメリカ・ファースト」,ロシアはウクライナ紛争を口実として,結局は軍事技術がベースになっている。中国は,かつて日本が世界をリードしていたあらゆるモノづくりを支配している。今さら日本が取り戻すことはできそうにない。

 開催国の国民である日本人が,今回の万博で得られるものはなんだろうか。はっきり言って何もないのである。それを,ドローンショーだ,VRだ,噴水ショーだ,などと日本人が喜んでいるのが情けなく思う。

 なぜ日本独自の水素エネルギー技術をアピールしないのか。なぜ備蓄米という世界のどこにもない食糧安全保障の技術や,陸上養殖,植物工場による安定した食糧生産という世界一の技術をアピールしないのか。

 今さら,日本人が行ってみたい国はあるだろうか。日本人は,世界に誇れる国民なのだろうか。かつて,「ジャパン アズ No.1」と呼ばれ,奇跡の経済復興を遂げた国として賞賛された日本は,もはやそこにはない。

 本当に350万人も海外から関西万博を見にくるのだろうか。そんな価値のある展示やイベントになっているのだろうか。後進国からの展示を,ただ物珍しく見て楽しむだけになっているのではないか。そして日本国民は,この万博から次にどこに向かうのだろうか。おそらく,何の成果もなく,何の進歩もなく,単に負債を残し,これに続くカジノで辻褄合わせをするだけに終わるのではないか。

 筆者はかつて,技術大国であったアメリカに行って感動したし,ドイツ,フランス,イギリスでもクルマやロボット技術などの先端技術に触れて感動した。その後,日本も技術としては追いつき追い越したが,ビジネスとしては成功しなかった。さらに,日本を追い上げていた韓国や台湾はおろか,はるか下にあった中国にまで追いつかれ,そして一気にNo.1の地位を奪われてしまった。そんな国が,技術後進国に向かって指導できる立場にはもはやなっていない。いつまでも殿様気分でノホホンとしていたら,次に起こるかもしれない戦争でも,そして経済戦争でも,一気につぶされて消滅してしまうだろう。

 大屋根リングを作った大工の職人技では日本は救えない。それは単なるパフォーマンスに過ぎない。誰も,あんな構造物を作ってほしいと思う国はない。日本ですら,そんな要望はどこにもない。

 形に残す技術や知恵があってこそ,健全な国家である。アニメ,ゲーム,お笑いYoutubeなど,形のないバーチャルなものに浮かれていては,2050年の日本はそこには存在しなくなっていると危惧する。関西万博で日本が発信できたメッセージは皆無である。