関西万博の目玉としての「大屋根リング」は,世界一の木造建築だというのだが,ただ柱と梁を繰り返し組み合わせただけである。天井部分は舗装されているが,雨漏り,雨どいからの水漏れで雨宿りができなかった。これからの夏場に日差しを避けることもほとんどできないだろう。台風が来たらどうなるのだろうか。
初日には特に夜間に噴水ショーがあったり,ドローンで空中映像を描くなどの演出もあるようだが,すでに2020東京オリンピックでも披露され,それ以前からアメリカや中国で精巧なドローンショーが行われている。ライトアップやプロジェクションマッピングなども既に世界各地,日本各地で行われており,新鮮味がない。
館内も映像体験的な展示ばかりなように見える。すでに映像型のゲーム機が世の中にあふれ,VRメガネやARメガネも実用化している現在,あえて会場まで足を運んでバーチャルな体験しかできないというのでは,未來感がない。
映像の歴史では,モノクロからカラーに,ハイビジョン,平面(液晶パネル),壁面(大画面),そして画面サイズもスクエア(4:3)からワイド(16:9),球面360度(IMAX),そして没入型へと拡張されてきた。空間に映像を映す技術もさまざま発明され,霧を作ってレーザー光で描いたり,噴水のカーテンにプロジェクションマッピングしたりと,初モノが次々と実用化されてきた。今回の万博には,そういう新しい映像技術も登場しないようである。
体験といえば,かつてはエレベーターやエスカレーターも初モノだったし,歩く歩道もユニークだった。新交通システムというタイヤで走る電車で無人運転するのもユニークだった。関西万博では無人運転とドローンによる行き来が予定されていたが,実現しなかった。せめてゴンドラで空中散歩,というぐらいの交通手段はあっても良かったのではないかと思ったりする。
結局,モノとしての新技術をセットする時間がなく,映像で済ませてしまうという流れなのだろう。2020東京オリンピックで国立競技場に複数台のカメラをセットすることでユーザーが見たい視点を変えられるという技術がごく一部で使われたが,そういう映像的な新技術も今回はないようである。人気のアーティストがコンサートを開くなども,万博とは違うんじゃないか,と思ってしまう。
「大屋根リング」の目的がやはり不明--人数制限はできるのか,暑さ対策,雨風対策はあるのか,リユースできるのか - jeyseni's diary (2025/3/26)の中で書いたが,日本らしい万博なら「B級グルメ万博」にすれば良かったのではないだろうか。日本全国のB級グルメと,世界のグルメが1ヵ所で楽しめるイベントなど,ほかにはない。伝統食から人気の寿司,そして和牛といった高級路線にプラスして,大阪ならたこ焼きやお好み焼き,ラーメン,どんぶりモノ,そして何よりも日本発の牛丼や天ぷら,トンカツ,讃岐うどん,ソバなど,あらゆる食が提供できる。実験的な調理でもいいし,奇抜な組み合わせの食など,日本独自だろう。それに各国の料理も味わえるとなれば,1日中食べ歩きできて満足度満点なイベントになったのではないだろうか。
次回はまた50年後になるのだろうか。今回の万博で,「万博の役目は終わった」と言えるように思える。日本が世の中を先導できなくなった証拠である。