jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

“人間ドラレコ”への挑戦と躊躇--スマホ,アクションカメラ,ARメガネ,そしてスパイカメラの沼

1日が過ぎて,その日の出来事をいろいろと思い出したいと思うのだが,ほとんどが明確に思い出せない。これは筆者が子供のころから高齢者となった現在まで,ずっと悩み続けていることである。

 出来事が思い出せないので,日記を書くことができない。書いたとしても,「今日は特別なことはなかった」と書いて3行で終わってしまう。よほどのことがない限り,その日に食べたものすら覚えていない。子供のころからなので,認知症とは違うとは思う。過ぎたことを気にしないタチなのかもしれない。

 ある日突然,それまで建っていた建物がなくなって更地になっていることがある。毎日のように通っていた道なのに,よほど行きつけの店でもない限り,思い出すことができない。

 最初の子供が生まれた日,家の近くの交差点からいろいろな方向の写真を撮った。手前にあったショップも変わり,向かいの草むらには家が建ち,ずいぶん様変わりした。しかし,その先の道沿いについては記憶もあいまいである。

 クルマには,万一のことを考えてドライブレコーダーを取り付けている。とりあえず,その映像や写真が必要な事態には一度もなっていないが,ひょっとしたら自分に有利な証拠が写るかもしれないという保険のために取り付けてある。一度,遠乗りした際に前方に広がる雪山の写真をドライブの後で確認したことはあるが,別にその写真を使うわけでもなく,ただ確認のためだった。きちんとした写真を撮るのなら,やはりカメラ,せめてスマホカメラは使いたいところだからである。それでも記録が残せているのは,なかなかすばらしい。ただし,衝撃映像のような崖崩れの瞬間や隕石の落下の瞬間などを撮れたことは一度もない。

 さて,筆者自身の記憶回路のあいまいさを回避する方法として,常に身の回りでカメラを回しておく方法をこれまでいろいろと挑戦してきた。いわば“人間ドラレコ”への挑戦である。課題は,さりげないこと,相手から怪しまれないこと,そして歩行の揺れを感じさせないことである。

 クルマのドラレコは,クルマそのものがタイヤにのってスムーズに動いているので,車体に固定していても映像の揺れはほとんど気にならない。しかし,人間ドラレコでは,歩くという大きな揺れを伴う。普通のビデオカメラでは,歩きながらの映像撮影は揺れを拾ってしまってほとんどダメで,三脚に取り付けて,その重さを利用してビデオカメラを安定させてきた。

 ところがアクションカメラというジャンルの製品群の登場で,オートバイや自転車,スポーツシーンなど,かなりの振動のある状態でも,ブレのない映像が得られるようになった。アクションカメラ本体に手振れキャンセルの仕組みが加わったからである。光学的なメカニズムに加え,多画素を利用して対象物を中心に捉え続けるような画像処理が組み込まれている。

 筆者も,小型ビデオカメラの代わりにと思って導入し,イヌの散歩の映像などを取ってきたが,常に使うという製品ではなかった。ビデオカメラが子供の行事のときにしか出動機会がなかったのと同様である。日本一周するわけでもなく,観光地紹介をするわけでもない。それに,小型とは言っても取り付けアダプターまで使うとそれほど小さいわけではない。普段持ち歩いて連続撮影するのには向いていない。 

 現在トライしているのが,スマホのカメラとアプリを使う方法である。筆者のスマホのカメラには残念ながらアクションカメラほどの強力な手振れキャンセル機構が入っていない。この辺りはiPhone,Galaxy,Google Pixel辺りがうらやましいところである。手振れ機能を加えるには,ジンバルと呼ばれるアダプターを取り付ければ実現できるのだが,これも大げさになる。

 身体の中でスマホカメラの方向と位置が比較的安定し,さりげなく使うには,ワイシャツの胸ポケットに入れた状態が一番だと思う。首からぶら下げて胸の前に垂らした状態だと,歩くたびにかなり揺れてしまった。

 この胸ポケットに入れた状態で,普通の「カメラ」アプリで動画撮影すると,写るには写るが,画面の揺れは甚だしい。手振れに対応しているという複数のアプリを使ってみたが,アクションカメラほどのスムーズさは得られなかった。さらに,撮影した動画の揺れや手振れをキャンセルする機能が強力と評判のGoogle Photoを使って補正してみたが,これにも限界があった。しかも,10分程度の動画でも,補正処理にはかなりの時間が掛かり,実用的とは思えなかった。

 いずれ導入を検討しているARメガネには,カメラ機能が付いているものもある。自分の目の前のリアルな世界と,デバイスの中のバーチャルな世界を組み合わせるために,カメラで常時撮影する。頭の動きもセンサーで捉えて撮影した画像を適切に表示する。この画像を記録すれば目標は達せられるかもしれないのだが,現在のモデルのほとんどが黒縁メガネで,そこにカメラが付いていると「スパイカメラ」と認識される危険性がある。ちょっと躊躇してしまう。

 スパイカメラと言えば,ネクタイピンやボタン,ボールペン,そして腕時計などにカメラを仕込んだ製品が,これまでもずっと販売されてきた。いかにも怪しげであり,所持しているだけで疑われそうなので,持つこともできない。また値段の割に画素数が少なかったりする。

 常時録画のためのもう1つの課題が,バッテリー問題である。クルマのドラレコは,クルマから電源を取ることができ,何時間でも使用が可能だが,モバイルの場合は特にカメラやディスプレイを動かし続けるとバッテリーが一気に減ってしまう。途中で駆動不能になって,映像が保存されないことも考えられる。実際,アクションカメラは長時間録画ができるようになっているが,スマホカメラで数時間連続で動作させることはあまり現実的ではない。

 あるアメリカのベンチャー企業が,ペンダント型のカメラを開発し,一定時間ごとにクラウドモリーに画像を送信して個人の1日の行動を記録できるシステムを提供していた。Life Logという考え方はとても共感できるものだったが,残念ながら破綻してしまった。筆者のようなニーズを持った人があまりいないのかもしれない。

 アメリカの警察は,パトロール時にボディーカメラを装着している。現場の状況を共有したり記録したり,追跡の履歴を残せたりする。かなりごついカメラが胸の前に固定されている。一般人なので,そこまではしたくない。何かさりげない仕組みが欲しい。

 とりあえず,いつどこをどう移動したかという記録は,スマホGPS機能を使ってgoogle map上にタイムラインとして残るようになっている。同じ程度の間隔で写真も残せるといいのだがと思うのだが,スマホカメラのタイムラプス撮影でもかなりのバッテリーを消費してしまう。

 残念ながら,まだベストの回答が得られていない分野であり,もう少し探求してみるつもりである。