jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

女性を喰い物にするテレビ番組を批判する

表題は「テレビ番組」に限っているが,実はテレビに限らず,あらゆるメディア,仕事に関して,女性が喰い物にされていることを,テレビ番組を例に挙げて考えていただきたいという指摘である。

 テレビ番組や広告メディアに登場する女性は,一般的に美しく着飾り,優しい笑顔を振り撒いている。ニコニコとしていればそれで役割を果たしている,と考えられている。そこに花を飾っていても,たいして変わらない。そういう役割だと考えられて画面が構成されている。

 一般社会でも,口にこそ出さなくなったが,「女性は職場の花」という位置づけはほとんど変わっていない。その意識がすでになくなっていれば,セクハラは起こらないはずだが,現実はなくなっていない。

 女性ゲストを中心に置いて,男性コメンテーターや男性芸能人が寄ってたかって質問攻めにする,というテレビ番組が山のようにある。タメ口をたたかれ,プライバシーにズケズケと踏み込んでくる。女性ゲストは,それでも笑顔を振り撒いて応対しなければならず,針のムシロ状態にある。同じ番組でも,男性の大御所俳優をゲストにした場合は,司会者もコメンテーターも下手(したて)に出て,ていねいな言葉遣いになる。もともと,ゲストにはウムを言わせないような構成でできている。司会者の方が上になるようなゲストを呼んでいるのだから,当たり前である。

 こういうテレビ番組は,もともとは民放のやり方であった。特にワイドショーではさらにタチの悪いことに,テレビ局の編集委員や職員などまでコメンテーター側に加わり,無駄な会話で時間を使うというスタイルになっている。中身がないから,いろいろとこね回して時間稼ぎをしているのである。

 ここ数年,この傾向はNHKにも広がっている。芸能タレントが司会をする番組がどんどん増えている。最初は落語家だったが,次にタモリ所ジョージ明石家さんまと続き,次に落語家崩れのテレビタレントが席巻してきた。現在は,普通の漫才コンビがどんどん押し寄せて来ている。

 話術が巧みなことは認める。話のネタづくりのためにいろいろな勉強もしているため,話の引き出しも多い。しかし,進行の仕方は自分たちのペースに乗せるためのリズムであり,話のツッコミ方も普通の興行と変わらない。場合によっては,というかほぼ必ずシモネタのツッコミが加わる。民放ならともかく,NHKでも同じである。なぜこれをNHKが許しているのか,不思議に思うところである。

 番組づくりに関しては,女性ゲストは女性が進行する番組以外への出演は辞退した方がいいと思う。正直,仕事の話を聞くことは二の次で,プライベートをほじくり出すことがそもそもの番組の狙いだからである。女性を喰い物にしている,というのは,一つはそういうことである。

 コマーシャルを見ても,健康そうな女性モデルが笑顔で商品を見せるというスタイルが,人が出てくるコマーシャルのほぼ9割を占める。まさに「モデル」であり,「看板」としか見ていないことを示している。

 最近は自虐的なつくりで漫才コンビを使ったり,不健康そうなタレントをわざわざ使っているコマーシャルも増えている。笑わないタレント,罵り合いをするタレント,裸を売りにする男性タレントなど,世の中の演芸場での公演なら別に構わないが,テレビを通じて無条件に拡散されることによる影響・被害は甚大である。影響を受けやすい子どもたちがこぞって「やりたい仕事No.1はユーチューバー」とか言うようになってしまった。無名のタレントのオーディション番組が「グランプリ」と称してゴールデンアワーに登場する時代である。テレビ番組企画者の発想の貧困さが伺える。数字が取れればいい,スポンサーが集まればいい,経費・ギャラは少ない方がいい,という発想から入ると,このような構成になるのだと思う。

 高度成長期は,ハダカやお色気を売りにした番組が世の中を席巻した。テレビドラマは,不倫やセクハラ,暴力を描いたものが好まれた。マンガはスポ根(スポーツ根性モノ)やお姫様恋愛モノと比較的まだ健康的だったが,現在は女性アイドル系などお色気モノが普通に登場している。どのキャラクターのイメージも同じように見えるのは,「それが売れる」と考えたプロダクションや作家がその路線で進んでいるからだと思われる。

 CSテレビでは昔のドラマの再放送をしている。高度成長期の火サス(火曜サスペンス劇場)などは,だいたい女性が不倫や性暴力,遺産相続などの被害者になったり,殺されたりしていた。現在の現実の女性はここまで虐げられているケースはないにしても,相変わらず家庭ではお手伝いさん代わり,職場ではお茶くみや接待,そして「結婚」がゴールインのような見方を誰もがしている。

 以前も書いたが,男性に便利なように作られた社会に女性が食い込んで行くことは容易ではない。食い込んだとしても,結局男性の視線は女性を性の対象として見ていない。また女性側も自分を女性として主張するあまり,逆効果となっているケースが多い。

 女性が経営する企業,女性だけの企業も増えて来ている。女性に対するサービスを専門に提供することで,新しい市場を開いているとは思われるが,見ていると「ファッション」「美容」「健康」といった女性を美しくするための企業が中心のように思えてならない。

 テレビ番組を例に取り上げたが,できれば女性が中心となったテレビ局ができてほしい。政治,経済,社会について真剣に議論し,首相をゲストに呼び,最終的には女性政党や女性国家まで構想できることを望んでいる。小池東京都知事は,元はテレビ局のキャスターだった。もっとメディアの力を活用するために,自らテレビ局を作るぐらいの気概を持ってほしい。