米NYハドソン川で旅客用ヘリコプターが墜落、子ども3人含む6人死亡 - CNN.co.jp (2025/4/11)という事故のニュースが飛び込んできた。4/6には,長崎県対馬からの医療用ヘリが,壱岐島近くに着水・転覆するという事故があったばかり。1年前の2023/4/6には,沖縄県宮古島で自衛隊のヘリが墜落して全員死亡という事故もあった。
ヘリコプターは基本的に2基のエンジンを積んでいるらしく,一方が動かなくなってももう一方で動力を確保できる。問題があるとすると,尾翼にあるテールローターと呼ばれる小さいプロペラが異常を起こした場合,機体が回転してしまってバランスを失うことである。多くのヘリコプターが,このメインローターが1基+テールローター1基という構成である。大型ヘリの場合は,前後にメインローターが2基あり,それぞれ逆回転させることでボディの回転を抑制できる。
おそらく,今回のハドソン川に墜落した観光ヘリは,筆者が35年前に乗ったヘリと同じツアーではないかと思っている。人生初のヘリ体験であり,それ以後,乗る機会はない。当時,晴天だったがそれなりに風はあった。自分が乗る前のツアーでヘリが着陸するところを見ていたが,それなりに風にあおられていた。自分が乗った時は,飛び上がるときは普通だったし,マンハッタン1周20分ほどのツアーは楽しかった。しかし,最後に着陸する際は,慎重な操作が必要に思われた。勢いで着陸できる飛行機と違って,ヘリの着陸はそれなりの高度なテクニックが必要なのだと思った。
今回の事故は,映像で見ると墜落直前にローターが回っていなかったので,燃料切れなどエンジン系のトラブルと,ローターブレードの破損などの機械的な不具合だったのではないかと想像する。また,壱岐島での事故は,燃料切れだったのではないかと思われる。宮古島での自衛隊機の事故は,エンジントラブルによる失速で,バードアタックだったのではないかと推測する。
関西万博の当初の目玉とされていた「空飛ぶクルマ」のデモ飛行が,ようやくマスコミに公開され,無事10分程度の飛行をした。こちらはモーターで駆動するプロペラが8個付いたSkyDrive社の機体である。空飛ぶクルマ 大阪万博 - 検索 動画。ただし,操縦士は乗っておらず,リモコン操作での飛行だったようである。
通常のドローンはプロペラが4個で,人間が乗る「空飛ぶクルマ」でも,コンセプトイラストではプロペラ4個が多かったのだが,実際には6個とか8個,中には12個もプロペラを付けた機体になっている。操縦士にさらに客が複数乗ると,それだけでも150kg以上になってしまう。機体の強度も必要なので,プロペラ4個ではパワーを得るにはプロペラを大きくしなければならず,実用的ではなくなる。
しかも,ドローンだと比較的安定してフワリと上昇するのだが,「空飛ぶクルマ」ではいかにも重そうである。プロペラ4個だとバランスも取りにくいのか,横倒しになって壊れてしまうデモ映像も見たことがある。
ドローンとコンセプトを合わせるためには,プロペラをモーター駆動する必要があり,バッテリーを搭載することになる。このバッテリーもさらに重さとして加わる。
駆動はモーターで行い,バッテリーの代わりに小型エンジンで発電するハイブリッドタイプの「空飛ぶクルマ」も海外では開発されている。結局,それなりに長い距離,長い時間を飛行しようとすると,バッテリーでは心もとない。ハイブリッド型が求められるようになると考えられる。
そうなると,ヘリコプターとの差別化が難しくなる。ヘリの場合,離陸時も飛行時もブレードが風を切るときの低周波騒音はかなり大きい。「空飛ぶクルマ」は,プロペラが短く,その分,高速回転するので,高周波騒音はそれなりにあるが,比べれば多少静かなのかもしれない。
災害時にもっとドローンを活用せよ - jeyseni's diary (2020/7/10)という提案は,もう5年も前になる。ドローンを活用するなら,災害,特に水害の監視用に飛ばすことと,救助用にペイロードの大きな大型ドローンを使うことを提案した。この場合,飛行時間も1時間や2時間が必要なので,バッテリー式ではなくハイブリッド式を提案している。実際,アメリカで農業用に使われているハイブリッドドローンは,100kgぐらいのペイロードがあるので,人命救助にも役立つのではないかと思うのである。
それに比べると,「空飛ぶクルマ」はオシャレではあるが,ひ弱な感じを受ける。1回の充電で30分が限度なのではないか。そうすると,利用範囲がほとんどなくなってしまう。
中国では,すでに大都市と内陸部の工業都市との間を「空飛ぶクルマ」が運行している。クルマだと高速道路で1時間かかるところを,「空飛ぶクルマ」だと15分で移動できる。都市間に何もない環境だと,わざわざ飛行場を作るよりも便利な「空飛ぶクルマ」が使える。中国では「低空経済圏」として,高度1000m以下での空輸環境が広がりつつあるのである。
日本では,離島との間の運行が最も考えられるのだが,すでに安定感のあるヘリコプターでさえ墜落事故が相次いでいるのに,こんなひ弱な「空飛ぶクルマ」の出番があるのだろうか,と疑ってしまう。
夢を追うことは結構なことだし,実際に人が乗って飛べる機械を作れたことは楽しいことである。しかしこれを社会実装できるかどうかは,もっと考える必要があるのではないだろうか。結局は,高速鉄道での大都市間交通の整備が,輸送能力から考えても理想的ということになるのではないだろうか。