jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

せん断方向と垂直方向を考える--スマホホルダーに求められる吸着能力とは

筆者のところにMade in Chinaの不織布マスクがある。5年前,新型コロナウイルス禍が始まったとき,日本でマスクを入手することができず,とにかく1箱ということでAmazonで注文した代物である。ごく一般的な不織布マスクで,その後国内で作られるようになった比較的高性能なマスクに比べると性能の保証はない。しかし,ガーゼマスクや布マスクなど,今考えるとマイクロ飛沫の拡散を防ぐ機能がほぼゼロのマスクに比べれば,一定の性能は持っていたと思う。

 筆者以外の家族全員が順番に罹患し,筆者が在宅勤務を続けながら看病をしたのも過去のことになってしまったが,その後も外出時のマスク着用は習慣づいている。2025年の夏場から秋にかけてまた各地で感染者数の増加が報告されており,引き続きマスクの着用は続けるつもりなのだが,やや落ち着いている現在,この中国製の不織布マスクを使い切ってしまいたいと考えている。

 この不織布マスクが残ってしまっているもう1つの理由が,耳ヒモが切れやすいという欠点があったからである。切れるというより,マスク面に取り付けている部分,おそらく超音波加熱で溶着して取り付けている部分が,ちょっと力が入ったときに外れてしまうことが多かったからである。

 再び使い始めて気づいたのは,マスクの裏表を変えたところ,耳ヒモが外れにくくなったということである。

 このマスクは標準的な横方向に3回折り込んで立体化するタイプである。感覚的に折り目が上から下に向くのが正しいと思っている。ちょうどブラインドの向きと同じで,飛沫が飛んできたときにマスクに引っ掛からないようにしていたのである。

 ところがこの方向だと,耳ヒモをマスク面から直角に引っ張る形になる。一方,裏表を逆にすると,耳ヒモがマスク面と同じ方向に引っ張られる形になる。

 前者は,ちょうど粘着シールを端からゆっくり引っ張ってはがすイメージになる。溶着部分の端に力が加わるので,ペロッとはがれてしまうのである。一方後者では,溶着部分全体で耳ヒモを引っ張る力を支えることになる。

 結果としては,マスク面の裏表を筆者が誤って使っていたようだ,ということになる。もっとも,日本製のマスクだと,どちらの面を使ったとしても耳ヒモが外れたことがない。たまたま,手早く入手した中国マスクにやや不具合があったということかもしれない。

 さて,マスクの耳ヒモの話を長々と書いたのは,実は先日から実験を繰り返している車載のスマホホルダーの固定能力について,共通する点があると思ったからである。

 そもそもスマホは200g前後の重さがある。スマホの表示を見るには,スマホが縦から斜め45度ぐらいの間で固定する必要がある。支える面は垂直から急な斜め状態である。さらに,必要に応じて片手で操作する必要がある。ハンドルから両手を離して操作することはまずないからである。

 このスマホを安定して固定するには,上下ないし左右ないし四隅から機械的に挟むのが一番である。ただし,この機械式だとスマホを挟む力が加わってしまうので,好みが分かれる。取り外すにもやや力を加えたり,両手を使う必要がある。

 これに対して,Magsafeに代表されるマグネット式は,筆者個人としてはやや疑問がある。たしかに取り付け・取り外しは片手で簡単にできる。iPhone単体だとかなりガッシリ吸着するし,ケースを付けた場合も付属の金属リング板を貼り付ければガシッと吸着する。しかし,金属リング板がない状態だと吸着力は一気に減る。感覚的に厚さ1mmのケースだと,吸着力が半分になる印象である。

 しかも,本体のリング状の配置した磁石とぴったり合わせないと,磁力はほとんど働かなくなる。つまり,少しずれたり,一部が少し浮いたりすると,一気に外れる可能性がある。特に,画面操作をする際に周辺に近いところを強く押すと,浮いてしまう可能性がある。

 同様に,クルマに固定する側を考えると,こちらはもっと心もとない。重力の方向から考えて安定的に固定できるのは,ダッシュボード上の比較的平面の部分である。かつての外付けカーナビの取り付けと同様,ここは粘着テープ一択になる。もう1つの方法である吸盤式では,ダッシュボード表面の材質や表面の梨地加工などによって,長時間の吸着が難しいからである。

 ダッシュボード上以外だと,粘着テープも吸盤も取り付ける平面がまずない。メーターパネルの表示が隠れない取り付け場所もない。フロントガラスに取り付けたいところだが,法律上,下部20%に取り付けられるとしても,視界を遮らないように取り付けるのは至難の業だし,上部15cm以内だと近すぎて運転中に視線移動が大きくなって危険である。

 最近,ダッシュボード上に粘着テープで固定し,そこからエアコンなどの前でマグネットで固定できるタイプが発売されたが,これも自分のクルマなら使えるが,レンタカーなどには使えない。

 エアコンの吹き出し口に取り付けるタイプもいくつか発売されているが,そもそも吹き出し口を塞ぐ形になることや,吹き出し口のフィンの強度に限界があると考えられることから,吹き出し口には取り付けたいとは思わない。

 結局,クルマのダッシュボードにスマホ用のくぼみを標準で備える提案--後付けのスマホホルダーは不安定 - jeyseni's diary (2025/5/20)というのが,一番スッキリするのである。スマホを置かなくても,メモ帳や小銭入れ,タバコの箱をポンと置くスペースとして使うことができる。規格どおり,Magsafeで充電できるオプションを加えてもいい。折り畳み式スマホタブレットの大きさをカバーする必要はない。その大きさのマップが必要なら,普通のカーナビやDisplay Audioを取り付ければいいからである。

 もう1つの案として,ダッシュボード内にMagsafe大の磁石ないし鉄板をあらかじめ埋め込むことを提案する。これなら,磁石式のスマホホルダーを簡単に取り付け・取り外しができ,余分な粘着板を取り付けてダッシュボードを汚すこともない。ダッシュボードと一体化することで,ホルダーの固定強度も保証できる。

 とにかく,やたらとアームの長いスマホホルダーや粘着板前提のスマホホルダーは,残念ながらどれも使用に問題があるという経験からの提案である。