jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

6枚刃っておかしくないですか

電気式シェーバー(ヒゲ剃り)もとうとう6枚刃の製品が登場した。同じメーカーの前の機種は5枚刃ということになり、これを凌駕する性能だというアピールのコマーシャルが流れている。

 前の機種も、特殊な刃先形状で剃り性能をアピールしていたのだが、それはなんだったのだろうか。前の機種も半端ではない価格が付いていたと思う。

 そもそも、電気式シェーバーも最初は1枚刃だった。丸いドーム状の固定刃でヒゲを捉え、中の回転する刃で孔から突き出したヒゲをカットする。当初は回転する3枚刃だったが、これは固定刃の内側の同じところをトレースするので、切り刃としては1枚である。このドーム状の固定刃がヒゲ列に沿って進む時に、いかにうまく孔に捉えるか、が設計のポイントであり、孔のパターンや形状の工夫が繰り返された。丸い孔から大小の孔、変形した孔など、多彩な工夫が見られた。アゴの形に合わせて素早く剃るために,固定刃を3枚,三角形に配したヘッドを売りにした海外メーカーもある。

 一方、往復式電動シェーバーは、数十枚の刃を一直線上に並べて高速で数mmの幅を往復振動させて固定刃の孔が捉えたヒゲをカットする。切れる位置が一直線上にある点は、カミソリ式シェーバーと同じ考え方になる。鼻の下など、少し奥まったところは、ドーム状固定刃よりもヒゲを捉えやすい。しかし、往復運動は振動も大きく、音がうるさいという欠点がある。

 5枚刃や6枚刃の電気式シェーバーは、この往復式電動シェーバーと同じである。

 考え方としては、「1枚目で捉えられなかったヒゲは2枚目に任せ、2枚目で捉えられなかったヒゲは3枚目に頼む」ということの繰り返しである。そのためにいろいろなパターンの固定刃を組み合わせている。

 正直言えば、「ヤケクソに刃の数を増やしている」としか思えないのである。

 1つの替刃を作ろうとしたら、いったい何点の部品が必要なのだろう。軽く100点は超えるだろう。その1点1点をきちんと作り、正確に組み立てて1つの替刃にするためのコストや製造機械のことを考えると、よくこのお金を払って買う人がいるな、と感心するのである。

 これでも満足のいかないお客様がいたら、次は7枚刃を作るのだろうか。

 カミソリ式のシェーバーも、最初は1枚刃だった。2枚刃が出たとき、「1枚目で引っぱり出したヒゲを、それが引っ込む前に2枚目が捉えられ切るので深剃りができる」という理由に感動した。実際、剃り味は抜群に良かった。

 こちらも3枚刃、4枚刃、5枚刃と進化しているが、筆者の感覚では4枚刃と5枚刃はほとんど差がなく、価格だけは5枚刃が上という評価をしている。3枚刃で十分であると思っている。2枚刃のときは,2枚の別の刃を並べて配置する方法だったが,3枚刃以降は1つの替刃ユニットの中にプラスチックで一体成型することにより,刃の角度をより平らに,刃と刃の間をより狭く配置することができ,これが肌への当たりを柔らかくして,ヒゲ剃り負けを防ぐ効果も発揮した。

 両刃カミソリシェーバー,おもしろい - jeyseni's diary 2021/4/9 と書いて以来,筆者は両刃カミソリ,つまり1枚刃カミソリシェーバーに完全に戻った。考えてみれば,両刃カミソリという部品1つが替刃なので,コストも作り方も実にシンプルである。廃棄は散逸の可能性は高いものの,まとめて捨てれば金属だけ分離してのリサイクルも可能な形かと思われる。ステンレス刃と言っても,磁石にくっつくからである。

 電動シェーバーも,3枚刃タイプまでは購入したが,結局アゴ下のくせ毛を剃れるものではなく,カミソリシェーバーとの2本使いだった。今は両刃カミソリシェーバーだけで満足の行く剃り上がりになっている。

 ドイツやオランダの超有名シェーバーメーカー,そして日本の大手家電メーカーの努力も虚しく,筆者にとっては最もシンプルな両刃カミソリシェーバーが勝利者となったようである。