2024年5月28日に,北朝鮮はロケットによる人工衛星の打ち上げを行ったが,1段目ロケットの不具合により爆破して失敗に終わった。
この打ち上げ失敗について,日本や韓国などのメディアが「準備不足」「次の打ち上げまでは時間がかかるだろう」などとコメントしているが,特に防衛庁や政府のコメントは北朝鮮の技術レベルを甘く見すぎていると筆者は受け取っている。
実際,2日後の5月30日には,日本海に向けて短距離ミサイル10数発を発射して威嚇してきたし,人工衛星打ち上げの前日の5月27日午後10時過ぎには,別のミサイルが発射され,日本全国でJアラートが発令。テレビドラマのクライマックスで番組が中断されたと,国民からの怒りのメッセージがSNSに発信された。「Jアラート発令は,国が仕事をしているということを国民に知らすためのデモンストレーション」「国民の楽しみを奪う権利はない」などと発言している。
今朝のミサイル発射は,人工衛星打ち上げ失敗に対する西側諸国からの嘲笑に対する威嚇だが,その数が半端でなく多い。いつでも,大量に武器を動員できる実力を示している。一方で,日本はそのミサイル発射の捕捉もできなければ,対抗措置もできない。岸田首相が「外務省に中国を通じて北朝鮮に厳重に抗議した」と,いつもの後手後手の発表である。
日本の技術の粋を尽くしたH3ロケットも,2回目でようやく成功。1回目から1年以上経過しての成功である(H3ロケット2号機で衛星打ち上げに成功?--たった2つの小型衛星放出のためのミッション? - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2024/2/20)。それも何回もの延期を経てのようやくの成功である。それから3ヶ月が経過するが,日本が発射したものは何もない。北朝鮮は1/14(1発),3/18(3発),4/2(1発),4/22(1発),そして5/30(10数発)との挑発を実施している。いかに臨戦態勢が継続できているかを示している。
北朝鮮からロシアに供与されたミサイルが,ウクライナ向けに使われているが,その半数が狙いを外した,という報道もあった。しかしその数は弾道ミサイル20発を含めばおそらく月間で数百発にも上るだろう。その製造能力も発射能力も,日本とは桁違いである。以前にも書いたが,仮に1発目のミサイルを迎撃できたとしても,2発目以降を防ぐ手段が日本にはない。
自衛官崩れの軍事評論家も,戦場経験者レベルの記者崩れのメディアコメンテーターも,そして無責任な一般政治家も,余計なコメントを安易に発しないでほしいものである。それをまた伝えるワイドショーやSNSも,モラハラの元凶となりうるのである。