jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

カラー印刷にAI導入を要望--ネット印刷の普及で「色再現」が鈍感になっている

筆者は,社会人になって以来45年もの間,ずっと印刷物に関係してきた。印刷は実にアナログな技術である。インクによる色の再現性は,印刷時の気温や湿度などによってバラつきが生じる。これまでは,本番印刷の前に何十枚も試し印刷をし,インクの量のバランスを職人技で調整して,色再現してきた。これをいかにデジタル化して「勘や経験」に頼らずに,安定化するか,が印刷業界のテーマの1つだった。

 「カラーマネジメント」という考え方で,印刷機の特性をあらかじめデータの中に持たせることで,企画者の意図する色を印刷で出せるという考え方が現れ,ICC(International Color Consortium)プロファイルの形で印刷機やモニターの色再現を合わせる技術が作られた。基準データを印刷したり画面で表示させ,実際の印刷色や表示色との差を求め,その差を補正することで,画面での見え方から印刷までの色の一貫性が保たれる。日本では,「ジャパンカラー標準印刷認証」を受けた印刷会社なら,自分で調整したデータと同じ色を印刷で再現できる仕組みである。

 印刷会社は印刷方式によって得手不得手がある。新聞や大部数雑誌は,輪転印刷での高速印刷が必要だし,チラシなどは少部数だが短納期が求められ,枚葉印刷やデジタル印刷が得意となる。ところが新聞や雑誌の需要が減り,書籍も小部数モノが多くなった。時間とコストのかかる印刷業務の中で,コスト削減で台頭しているのがネット印刷である。

 いわゆる営業マンの人件費を削減し,見積もりなども自動化し,運送も宅配任せ,あとは大量受注によるコストカットが大幅に進められた。

 トナーやインクジェットプリントなど,従来のオフセット印刷に代わる手法も広く受け入れられるようになった。インク方式によるオフセット印刷より,色の再現性は安定しているのが売りである。

 一方,オフセット印刷もまだ多く使われている。しかし,いわゆる職人技はもはやなくなったようである。試し刷りなどなく,いきなり製品用の印刷出力が出てくる。その時点で最終品質は決まったことになるのだが,どうも今一つ発色が良くないことが多い。

 印刷現場にはもちろん作業員はいるはずだが,結果に対して調整したり,といったフィードバックは一切行われない。でき上ったらそれでおしまいである。

 かつては,色刷りを企画側が見てフィードバックする色校正が普通に行われていたが,コスト削減でほぼ行われなくなった。しかし,作業員が「この顔の色はおかしいぞ」と気づいてもフィードバックはない。

 筆者は,このカラーマネジメントにAIを導入することを提案したい。印刷結果をセンサーで読み取り,対象物を判定し,その理想の色味を判別してフィードバックする。場合によっては数枚の試し印刷で補正を実現できる。

 iPhoneを皮切りに,スマホカメラの画像は撮影して保存するまでの間に自動的に補正され,人の目で見たように調整される。同じような機能を印刷機に入れることを提案したい。

 カラーマネジメントでは,数十点の色見本を1個1個センサーで読み取って補正テーブルデータを作る。すべて手作業である。しかしAIならより細かい調整を短時間で実現できるはずである。

 AIはこういう使い方をすべきだと考える。