シニアカーが車道をゆっくり走るという記事を見た。もちろん危険だし、常識ではあり得ない。
しかし良く考えると、シニアカーが通ってもいい歩道が実に走りにくいことが分かるはずだ。
歩道が車道より1段高くなっているのが一般的である。しかし、交差点近くだけでなく、家や店舗があるところでは、クルマの出入りに支障がないように段差を削り、縁石も外す。ここがまた、歩行者やシニアカーにとっては段差になる。
障害者保護が当たり前になったが、このデコボコした歩道を車イスで通るのは大変だったと思う。ただ、最初は介護者が車イスを後ろから押すのが一般的だったので、歩道の段差も何とか無事に越えて来られたと思われる。
ところが近年、車イスも電動式になり、障害者が1人で出掛けやすくなった。電動式車イスは重いので、段差で転びやすいのではないか。
タイヤ径の大きい自転車はいいが、昨今の電動キックボードやシニアカーなど、タイヤ径の小さい乗り物は段差を乗り越えにくく、転倒の危険が高い。車道の方が安心して走れるというのも分かるのである。
結局、日本の道路はクルマ中心の設計である。車道の舗装はクオリティが高いが,歩道の舗装は瓦礫・小石だらけで,数年経つとガタガタになってくる。よく見ると,水はけを良くするためなのか,車道に向かってかなり傾斜している。これも車イスやシニアカー,電動キックボード,そして歩行者にも優しくない。
海外では,歩道を石畳にして自転車車線と区別したりするが,車道,二輪車車線,歩道とほとんど高さの差はない。
日本のすべての歩道の段差をなくすという改修を提案したい。ただ,すべての歩道を改修し直すのは大変なので,まず駅周辺,国道,県道と順に広げていくことを提案する。人通りの多いところ,そして自転車や電動キックボードが通るところを中心に着手するのである。
その際,街路樹の領域を二輪車車線に使う改修を提案している(歩道をガードポールやガードレールで覆う--道路予算を歩行者保護にもっと使うべきでは - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/11/28)。そもそも,街路樹が巨大化して,歩道をガタガタにしている1つの要因になっているし,大風,台風で倒れたり,枝が落ちてきたりする事故も増えている。街並みはたしかに美しいが,街路樹で歩行者を守ることはできないし,そもそも植樹による緑化効果は限定的である。平らな広々とした道にした方が,障害物がなく,安全だと考える。もちろん,車道との境にはガードレールを取り付ける必要があると考える。