jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

病床追加指示はわずか1000床--すごろくで「振り出し」に戻されるような失望感--大規模避難施設に検査と一次療養の機能を

岸田総理大臣が,「国と東京都、大阪府と連携して臨時の医療施設を合わせておよそ1000床増設する」と2022/2/9に表明した。東京都で660床、大阪府で350床とのことである。「今月中旬から順次運用」とのことだが,具体的にどこにどのように設置するのかが明らかではない。感染拡大のスピードが緩んでいるという段階での判断だが,重症者はまだ増える傾向があり,病床の拡大は必須だと思うが,タイミングも床数も少しペースが遅いように思う。第5波のときも「野戦病院を作る」といいながら,結局作ることはなかった(富山県での体育館改造のみ)。今回も,スピードが緩んだとコメントした段階でようやく作ると宣言し,結局作らずに終えようとしているような魂胆が見える。

 東京の2022/2/9の患者数は,重症入院者59人,宿泊療養者4516人だが,自宅療養者が82534人,調整中の数が78536人もいる。「オミクロン株だから重症化しにくい」と思い込んでいるのかもしれない。このまま事態は改善すると勝手に決めつけているのではないか。ならば,重点措置も解除して,普通の生活に戻すという海外と同じ対応をすべきではないのか。3回目のワクチン接種が進まないのもようやく後押しをし始めた。いずれも1ヶ月,発信が遅いと感じる。

 災害時に最も頼りになるのが「避難所が近くにある」という事実である。学校や公民館など,屋根があって雨風が防げて暖が取れる,と思うだけで心強い。筆者は幸いなことにこの歳まで一度も避難所に行く必要のある災害に出会っていないが,おそらく生きている間に関東地方の大地震や大規模台風,竜巻などの被害に遭うのではないかと予想している。実際,避難所として指定されている近くの小学校に行くには,途中に小川を渡らなければならず,この川が氾濫したらどうしようかと懸念はあるのだが,家族の身の危険を本当に感じたら素早く行動しようと気持ちは固めている。しかし,街中の人をすべて収容することはおそらくできないのではないかと思ってしまう。

 COVID-19禍においては,避難所の意味合いを持つ医療体制もサポート体制もまったく余裕がない。東京都では現在,80人に1人が感染で自宅待機か施設療養か調整待ちの状態になっている。避難所の外で延々と待たされている状態である。具合の悪くなる人も一気に増える可能性がある。重症用病床ももちろん大事だが,検査のできる場所,監視しながら様子を見てもらう場所をもっと提供しなければならないのではないだろうか。

 テレワーク城下町を作ろう - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/5/5 と2年前のブログに書いた。リゾートホテルをテレワーク用に作り変えて提供してはどうか,という提案だった。実際に,一部のホテルで宴会場をテレワークスペースに変えて企業誘致をしているところも出ている。また同じ日のブログで 「新しい生活様式」ではなく「新しい産業構造」の発想転換が必要 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/5/5 として,ビジネスホテルを借り上げて療養施設に転換するということも提案した。これもその後,大都市周辺では実施されたが,肝心のときに期限切れとなるなど,管理が不十分だった。

 結局は,イベント会場や大宴会場などの広めのスペースに大量の布団を敷き詰め,その間はダンボールで仕切りを作り,そして冷暖房と換気をする,といった緊急措置を取らなければならないのではないか。

 自宅で症状が出た場合,普通なら医者に行って診断を受け,薬を処方してもらって自宅に戻るか,治療のために入院するか,という流れができる。しかしCOVID-19では,自宅で症状が出ても,まず保健所も医療機関も連絡がうまくつながらない。つながったとしても,ヒヤリングだけされて「そのまま自宅で様子を見てください」と突き放される。自費で検査しようとしても,市中のPCR検査場は満員で予約が必要,チャンスが増えた薬局では検査キット不足か,「症状があるなら対象外」と断られて,また再度保健所や医療機関に助けを求める,がつながらない,という悪循環になっている。

 仮に陽性と判定されても,医療機関で診断されたとしても,解熱剤などの対症療法の薬だけ渡されて自宅療養を言い渡される。基礎疾患があって重症化の可能性のある人は入院の手続きへと駒を進められるが,今後はその搬送先がなく,「調整中」の枠に入れられる。その待機場所はまた自宅に戻される。

 まるで,すごろくでせっかく前に進もうと思ってもまた「振り出し(出発点)」に戻されるような失望感がある。将棋で言えば,攻めても攻めても次々に駒を相手に取られてしまうような自暴自棄になりそうになる。

 政策を決める政治家は,常に「オールマイティー」なカードを持っている。お抱え運転手付きのクルマでの登院,そして万一罹患した場合でも,権力を振り回しての検査・入院・治療ができるルートを確保している。ほとんど,裏の世界のルールと同じである。

 いい加減に,一般医療機関の医師・看護師が,全面的なバックアップ協力をする体制ができないものか。医師会は自分たちの守備範囲をあくまでも守りたいのか。一部の地方市町村で,オープンな体制が実現しつつある。ことが大都市,特に東京においては,どこもかしこも線引きだらけで,一歩前に進めようとしてもがんじがらめになっているような気がする。大規模な避難施設,つまり球場や体育館,アリーナ,武道館などを一斉に転用して,検査と一次療養の併設を進めることを提案したい。