兵庫県の斎藤知事に対する不信任決議が2024/9/20に全会一致で可決した。これにより,斎藤氏は辞職するか,県議会を解散して知事選挙をするか,という二択だというが,9/24現在,辞職の意思はないとされている。
トップによるパワハラがあったとして,内部告発があり,告発した県職員が自殺した。その後,責任を感じた片山副知事が辞職した。
この時期,職を失うのは選択肢としては厳しい。特に,一般企業よりも身分的には安定している公務員の場合,退職するという選択肢はなかったのだろうか。その前に心が折れて自ら命を絶つほど追い込まれていたのだろうか。
「政策」で勝負してほしい--相手の人格を否定するような政治家はゴメンだ - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2024/7/23)で「地方自治においては,市長は大統領なのだ」とコメントを書いた。都知事選挙の結果を受けてのコメントだが,兵庫県知事の場合は,もはや所属政党すら本人を制御できないほど暴走しているのを感じる。
一般企業でも,パワハラ上司は存在する。トップがパワハラの根源である場合もあれば,直属の上司の場合もある。サラリーマン社長の場合は,概して社員に対しての干渉がなく,ハラスメントが起きることは稀なように思うが,創業社長,同族経営といった場合に,社長や社長の息子,社長夫人といった辺りが社員に無理な要求をしてくるケースは,ドラマだけではなく現実にもある。筆者の場合も,かつて創業者の息子が直属上司となった職場でパワハラを受け,3ヶ月で退職を余儀なくされた。創業社長には逆にかばっていただいたし,退職後に復帰のオファーまでいただいたが,戻る気はなかった。その後,その創業者の息子は社の業務から外されたと聞いたが,もはや戻ることはなかった。
筆者の周辺でも,公務員をしていて途中で退職したという人はほとんど聞いたことがない。真面目にコツコツと仕事をしていれば身分は保証されているし,待遇はいいし,定年退職後の年金も保険も充実している。トップは4年任期で変わる可能性もある。じっとガマンしていれば強風は通り過ぎることも考えられる。それでも,想像以上のプレッシャーだったのかもしれない。
昨今は,地方行政において市民からの無理難題を受けることもカスハラ(カスタマーハラスメント)と認定されるようになった。一般企業であれば,顧客を限定できる仕事もある。もちろん,飲食業や販売業,観光業など,あらゆる立場の人がお客様になる業種も多い。客という立場で上から目線でさまざまな無理難題が降りかかってくることに対応することは,精神的にも辛いことである。
かつて,横暴を働いていたのは“反社会的集団”だった。経済的,あるいは社会的に落ちこぼれた人が最後に転がりこんで悪事に加担してしまうのがパターンだった。しかし,現代社会では夫婦,家族,企業,社会全体におかしな上下関係ができ,誰もがハラスメントや犯罪に加担してしまうようなギスギスした状況になっている。
いろいろ考えると,経済を立て直して豊かな家庭を持てるようになることと,学校という共同社会の中で知識だけでなく協調性・社会性を身につけて大人になる,というところまで,社会全体を建て直さなければ,元に戻らないように思える。学歴ばかり高くて,言っていることは立派なのに,人間性に魅力のない人がトップに立つことへの不安が広がっている。下手に文句を言えば粛清されるような社会的な雰囲気が広がっている。日本だけでなく世界中が,今こうした厄介な雰囲気に包まれている。
そういう意味では,前アメリカ大統領のトランプ氏は,ある意味では政治家として魅力的だったのかもしれないし,現副大統領のハリス氏も,黒人系で女性という虐げられてきた人々の代表としての求心力を持っている。立憲民主党の新党首になった野田佳彦氏の「どじょう政治」がひょっとしたら今の日本社会を変えるかもしれないという期待がないわけではない。自民党総裁選の9候補の中に,国民が熱狂できる魅力ある人物がいるのかについて考えると,筆者的には1人に絞られてくるのだが,残念ながら党の伝統的な力関係の中で潰されてしまうのだろうと予測できるのが残念である。
小手先の教育対策では,もはや元に戻ることはできない。東京大学の入試をなくすところから始めないと,日本の教育システムがますますおかしくなるし,結果として自分で考え,自分で挑戦し,世界にアピールできる人物を輩出できなくなってしまう(東大の悲劇。官僚,クイズ起業・・・税金の無駄遣い - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/3/6)。