jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

市中感染は,いわば「無差別攻撃状態」

イスラエルとシリアの間の空爆が止まらない。軍事施設だけでなく,一般民家にもロケット弾やミサイルが被弾,多くの方が亡くなっている。崩れ落ちた住宅と,その脇で泣き崩れる家族の姿が報道される。しかし,死傷者数は報道されても,亡くなった方の情報が報道されることはない。

 新型コロナウイルスによる第四波が日本でも広がる中,毎日「亡くなった方は○○人,昨日より○○人増えました」といった報道が,日々続いている。同じように,亡くなった方の情報はほとんど報道されない。

 交通事故の場合,ひき逃げや信号無視などの何らかの違法性があるからか,加害者,被害者の情報が報道されることもあるが,交通事故そのものがもう何十年もなくならない状態で,情報に対する感覚が麻痺してしまっているのを感じる。

 いずれのケースも,メディアや行政にとっては「統計」としての数字でしかない。正確に数えて情報発信する必要はあるが,事務作業的に行われてしまっている。しかし,亡くなったそれぞれの人やその家族にとっては,生まれて初めての経験であり,そこから数年以上にわたる不幸や不具合の始まりなのだが,一般の人にはなかなか共有できない。

 一方,インフルエンザの感染者数は年間1000万人,死者数も3000人という状態が例年である 報道される数字や,お笑いタレントにマヒしてきた - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/8/26。これも日本の数字である。昨年はひょっとしたら減っていたかもしれない。しかしこちらの数字は報道されることもない。

 交通事故の数を減らす努力は,自動車会社の技術開発や道路側の工夫,ドライバーや歩行者への周知,そして法律による規制などによって,日々対策が進んでいる。無人運転者などによって,そのうち事故ゼロも実現できるかもしれない。インフルエンザには特効薬が数種類開発されており,イタチゴッコといいながら,診断さえ受けられれば回復する確率も高くなっている。

 しかし現在の新型インフルエンザによる攻撃に対して,日本ではほとんど対策がない。2020年の第一波から第三波は,すでに従来型と呼ばれるようになった感染力が今に比べて限定的なタイプで,パチンコ店や飲食店,介護施設,大型イベント,学校など,「人が集まる」ところを狙って感染が拡大。医療機関も対策方法が確定していなかったために院内感染を起こしていた。

 ところが,2020年末から2021年初頭の第三波,そして現在の第四波にかけて感染力の強いイギリス型変異ウイルスにより,どこが感染しやすい場所でどこが安全な場所か,という区別がどんどんなくなって来ている。報道でいう「市中感染」状態になっているような気がする。

 人的に無差別に空爆をしている中東情勢は,人間の知恵と努力と妥協で早く押さえなければならない。これは押さえることができると思う。本当に邪悪な人も残念ながらいるのかもしれない。世界の経済が発展して,貧困がなくなれば,争いはなくなる,と信じて科学技術を応援してきた1980年代の筆者の夢は,2000年代に入ってからの世界的な不況で格差社会が拡大し,国家間の国境問題や宗教問題など,戦争がなくならない。世界的パンデミックである新型コロナウイルス。国家間で争っている場合ではない,と思うのだが,この非常事態に乗じて侵略を進める国や団体もあるのは,人の邪悪というものかもしれない。

 新型コロナウイルスの変異ウイルスは,感染力が強く,ツバ飛沫だけでなくマイクロ飛沫でも感染しやすくなっている。従来型ウイルスは3密状態で感染しやすくなると言われていたが,変異型ウイルスは1密でも感染しやすくなり「どこでも感染する」危険性が高まったように思う。人為的な空爆と比較するのは問題はあるが,変異型ウイルスは「無差別攻撃状態」になっているのではないかと思えるのである。

 空爆よりさらに厄介なのは,家の外に出入りした家族や,届いた荷物,届けた配達員などが,ウイルスを家の中に持ち込む可能性を否定できないことである。もちろん,自分が外出した際に感染,あるいは衣服やマスク,手指などにウイルスを付着して家に戻ることで,家の中でウイルスを撒き散らして家庭内クラスターを起こす危険性を否定できないことである。いわば,時限爆弾を抱えさせられて移動しているような状態である。

 家の中は閉じられた空間で長時間近距離にある濃厚接触状態に置かれる。感染力の高さを考えると,非常に危険な状況になっている。若い人も無症状感染だけでなく,重症化リスクが高まっていることを考えると,高齢者優先などと言っていられなくなっている。

 連日のように,ワクチンの取り扱い不備や冷蔵庫の故障,勘違いなどによる廃棄の話題が報じられる。身体にウイルスという時限爆弾を巻いた状態の人からの感染罹患を防止する唯一の方法が,ワクチン接種しかないという段階に入っている。とにかく,全員に早期にワクチン接種をしなければならない。「うっかりミス」で「申し訳ありません」という会見はとにかくやめてほしい。謝れば済む問題ではない。