2025/9/7,石破首相が辞任表明をした。9/8の総裁選の前倒し実施を決める両院総会を開く直前の発表だった。
ここに至るまでの伏線についての解説は,ニュースで見ていただくとして,次の自民党総裁に誰がなるのか,という議論に赤澤亮正経済再生担当大臣と上川陽子前外務大臣の名前が挙がっていないことに不思議さを覚えたので,コメントしたい。
次の自民党総裁は,単独では総理大臣には選出されづらい。仮に自民党と公明党が強力しても,過半数にならないからである。その公明党も,一部の候補者に対しては協力しないという声明を出している。その候補の場合,公明党以外の野党との協力も怪しいため,総理大臣に任命されるのは難しくなる。
かと言って,現在出ている候補者の中でどの人が総理大臣になったとしても,まちがいなく国際情勢の中で交渉の波を乗り越えて行ける人物が見当たらない。
片やアメリカのトランプ大統領,片や中国の習近平国家主席,ロシアのプーチン大統領,そしてウクライナのゼレンスキー大統領,さらに北朝鮮の金正恩主席と,超・曲者が揃った現在である。外務大臣経験者と言えども,対アメリカ交渉には成功したが,残りの大国には歯が立たない。
ウクライナ紛争を巡っては,日本は民主主義の国家として欧米NATO諸国に歩調を合わせて,ロシアに批判的な立場を取ってきた。一方で,中国,ロシアが中心の上海協力機構に,アジアの多くの国と,アフリカ数か国が加わり,新たな経済圏を確実なものにしようとしている。インドまで加わると,人口で世界の8割,資源でも半分以上が新経済圏で押さえられてしまう可能性がある。
日本は,おそらく唯一の「平和主義」国家なのだが,逆に言えば「無防備国家」であり,「お手手をつないで皆さん仲良くしましょう」と呼びかけるお遊戯主義でしかない。度重なる自然災害を乗り越えて来ているはずが,他国への支援すらまともにできない。つまり,外交のできない国になってしまっているのである。
その中で,石破首相は明確にアメリカ寄りの立場を取ってきたと思う。道半ばだったとはいえ,アメリカとの関税交渉でも先頭に立った姿が見える。
ただし,実際の交渉に当たったのは赤澤亮正経済再生担当大臣である。最初の関税交渉で例外的にトランプ大統領と話をするなどの厚遇を受け,その後のタフな交渉を重ね,9回目の訪米で自動車への関税15%の大統領令の署名を引き出した。彼が交渉の場にいなければ,日本には制裁的な関税が掛けられていたのではないかと筆者は考えている。
現在の国際情勢において,本来は石破氏が先頭に立って交渉に当たることが,日本の利益につながると個人的には思う。ほかに交渉に耐えられる人物が見当たらないからである。その点,石破氏の命を受けた赤澤氏とトランプ大統領との良好な関係は,現在の路線を引き継ぐものとして支持したいのである。
同時に,前外務大臣だった上川陽子氏には外務大臣に返り咲いていただきたいと思っている。上川氏も習近平氏との会談で堂々とした対応をされた姿が印象に残っている。交渉(ディール)が必要な現在の国際社会で,耐えられるもう1人の人物だと思うのである。
本来は,豊田章夫元トヨタ自動車会長を中心とする「経済党」が日本を牽引して,再び競争力のある日本にしてほしいと考えていたのだが,新浪 剛史経済同友会会長の不祥事疑惑で,経済界も混乱が予想される。
日本独自技術としての水素エネルギーと食糧工場生産に何とか舵が切れないものだろうか。電気を使わずに水素を発生させるという技術が,関西万博で紹介されているという。ここを起点にできないかと思った週末である。