傷害罪といえば、相手に触っただけでも適用されるケースがある。何か不当な状況で相手から手で制止されたような場合、とりあえず「傷害罪で訴える」と言えば相手はそれ以上の手出しができないという理屈である。電車内のいざこざを制止しようという駅員に対して、この決めセリフが発せられる。もちろん、駅員に対する暴力行為は犯罪である。
止めることができない咳・くしゃみも、手でマスクを押さえたり、袖に口を当てるなどの配慮があればまだ許されるが、マスクをしているからと大手を振って手放しでくしゃみをされると、その瞬間、マスクは浮き、その隙間から飛沫もマイクロ飛沫も周囲に噴出する。正面は避けられても、例えば電車で立っている人のくしゃみ飛沫は、その前に座っている人にまともに振りかかる。
単にマナー違反というだけでなく、これは車内にいる人を感染症のリスクにさらしたという犯罪である。マスクを押さえる、袖マスクをするという感染拡大防止措置を取らなかったという注意義務違反であり、結果として相手が感染すれば、それは立派な傷害罪である。
緊急事態宣言の全面解除で人の行動も心掛けも緩み始めている。マイクロ飛沫防止効果が高い不織布マスクをしている人が増えたが、隙間のある装着をしている人が多い。また元の木阿弥にならないか、心配である。